終わって…寝返りをうち背中を向けたら
裸の背中に…
裸の沙羅の胸が抱きついてきた。
愛し合った残り香が
まだ冷めきれずに火照るカラダを包んでた。
静かな…静かな初秋の夜だった。
文明開化から23年。
江戸から…東京と名称が変わり
やっとそんな名称に馴染んできた頃かもしれない。
街には洋服と着物が混在しているチャンプルーな時代だった。
障子に月明かり。夜具の横の衣紋には
沙羅の淡い桃色の着物に帯やらがかけられていた。
夕闇も落ち着き人々が眠りについた頃は
隙間風の吹く長屋の彼方此方からは
控えめからやがてせつない男と女の
愛し合う我が儘な声が…延々と聞こえていたけれど……
今は…もう真夜中…ただただ蟋蟀の啼き声が聞こえるだけだ。
甘い香りに包まれて
背中に当たるふたつの沙羅の双乳が
なんとも心地よく柔らかく温かだった。
沙羅…
主様…
闇の中で沙羅が抱きついたまま離れなかった。
未だ蒼い柔肌が背中に吸いつくようだった。
あああ…主様…と…せつなげに吐き
時折…背中に…彼女の小さな唇が…這う。
そんな沙羅を背中に感じながら
唇を重ねた時のせつなげな沙羅の眉の線が…
なんともいえずに愛おしく感じたのを思い出した。