コクド会長の堤義明氏が先日有価証券報告書虚偽記載の容疑で逮捕されたが、「淋しきカリスマ堤義明」はこの背景を知る上で面白い本だと思う。
この本の中では、堤康次郎氏の生い立ちおよびコクド創設時の軽井沢、箱根の土地開発事業から始まる。武蔵野鉄道(現:西武鉄道)を経営権を掌握していく強引さも非常に分かりやすく表現されている。すなわち、「堤商店」の原点がこのあたりから始まる。
堤康次郎の女性遍歴も凄い。堤義明氏の愛人問題が最近、週刊誌に掲載されているが、彼の父堤康次郎氏の女性遍歴に比較したら、まだ良いのかなと思えた。また、堤義明が父康次郎から受けた帝王学も厳しいもので、「友人は作るな。利用されることばかりで、役に立つことは何もない」と言われたらしい。
堤義明氏は大学時代に軽井沢のスケートリンク、大磯ロングビーチを開発したというのだから、事業家としての才能はあったのだろう。
しかし、個人的に上場企業であるにもかかわらず自己中心的な経営は許されるはずもない。また、鉄道と言ったインフラを運営している会社に不適切であったのであろう。近年、企業の社会的責任論が問題しされているが、やはり公共交通機関を運営する会社には公共性の保持、法律の遵守は義務であろう。

ある時代の終焉なんでしょうね。

今週は、ニッポン放送の新株予約権の仮処分の行方が気になる。
著者: 立石 泰則
タイトル: 淋しきカリスマ堤義明