本の紹介とボクシングへのこじつけをする企画の第二段です。

図解 仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方
著 吉田行宏
(Kindle Unlimited)

 このブログを読んでいるヒマがあったらこの本を読んだ方が良い、そんな名書だと思います。人間の特性で明文化されていなかったものが書き起こされています。

1  メモリーミス
 脳の記憶には長期記憶とワーキングメモリがあります。長期記憶は覚えるのが遅いが大容量。ワーキングメモリは覚えるのが速いが小容量。
 ワーキングメモリの小ささを実感するための例題として9桁の数字を記憶しながら2桁×2桁の暗算をする事が挙げられてます。やってみたら、脳がいっぱいいっぱいで無理でした。
 ワーキングメモリを空に近い状態にしておくと、作業のスピードや精度が上がる、アイデアが出やすくなるなどの効果があります。その状態を作るためにメモをする事が挙げられてます。
 長期記憶に保存する為にはゆっくり・じっくり・1回でやるのではなく、素早く・ざっくり・くり返しが重要になります。

2 アテンションミス
 注意や不安や後悔などもワーキングメモリに影響があります。その対策もメモなどで頭の外に出してしまう事です。作業手順書やチェックリストなどもこれに当たります。

3 コミュニケーションミス
 話し手と聞き手ではイメージにギャップがあります。話し手は実際あった事を話しますが、聞き手は話し手が発した言葉を自分の記憶で補完して理解してしまいます。ギャップがあって当然なのです。
 これを防ぐには意識の矢印を自分に向けるのではなく相手に向ける必要があります。自分の思い込みや先入観を排除して相手の言葉で分からない事は質問をして理解しようとするのです。相手の理解を確かめる方法としては復唱させて確認する事が挙げられてます。

4 ジャッジメントミス
 脳には2種類の思考があります。記憶をもとに判断する速い思考とワーキングメモリを使って判断する遅い思考です。これらを使って判断をしています。そして速い思考のみを使って判断した時にジャッジメントミスが起こります。
 このジャッジメントミスへの対応策も意識の矢印を相手に向けて遅い思考を使わせる工夫が必要になります。

 以上がこの本のざっくりとした内容です。これをボクシングに応用してみたいと思います。

1 メモリーミス
 長期記憶は習得した技術、ワーキングメモリはやろうとしている事や感情が占めています。よく自分が「体に覚えさせる」と言ってるのは長期記憶にしようという意味になるのかと。
 ボクシングでもワーキングメモリを空に近い状態にしておく事が重要です。新しい事を3つや4つもやろうとして、結局全部出来ないという経験をしているのは自分だけではないはず。

2 アテンションミス
 スパーリングをはじめた頃のワーキングメモリには恐怖がいっぱい詰まっている感じだと思います。対策としてはガードを上げてパンチを防げるようになるとかありますが、結局のところ殴られる痛みを長期記憶に覚えさせるしかないのかなと、個人的には感じます。
 パンチが当たった時の喜びはワーキングメモリを使ってしまい、追撃が出せなくなるのでご注意を。
 感情は力にもなります。自分の場合、狂気を詰め込んでいる事があります。ただ感情を込めるとミスも多くなります。

3 コミュニケーションミス
 スパーリングは対人競技です。なので意識の矢印を相手に向ける必要があります。パンチの応酬は会話なのです。相手の事を知ろうとしないで自分勝手に手を出し続ければ、痛い思いをするのは必然です。
 相手の考えを知る為に、捨てパンチやフェイント、ガードをさせるなどが使えます。何もアクションを起こさないと相手の反応が見えてきません。

4 ジャッジメントミス
 記憶をもとにする判断が速いのであれば、必要なのは成功体験。現役時代はミスという屍を積み重ね試行錯誤を繰り返して成功までたどり着く、そんな遠回りな道のりを歩んでいました。何かやってみたい事があれば、提案してください。成功体験が出来る様に協力はします。ただ失敗もしてもらうつもりです。

 以上がボクシングへの応用ですかね。この本を読んでいる時に気づきや納得が数多くありました。興味のある方は是非読んでみてください。