「どうやって・・・?」

 

「ん~、確かめるすべ・・・・住居表示とかないか?」

 

「住居表示って・・・電柱とかに書いてあるヤツ?」

 

「そう、表札に書いている家もある」

 

「よし、じゃそれ、探すか。ま、それなら簡単に見つかるだろう?」

 

4人は一番手近な電柱を見つけると、そこまで移動することに決めた。

 

だけど・・・・

 

「住所は書いてあるけど、ここどこ?」

 

電柱までたどり着き、町名を読んで陽がつぶやいた。

 

「・・霞町264の5って・・・霞町ってどこ?」

 

「そもそも・・・S市に霞町なんてあったか?」

 

自分の住んでる市の町名全てなんて覚えてるわけがない。でも思い出す限り、

 

S市にそんな町名は聞いたことがなかった。

 

頭を横に振ると

 

「俺も記憶がない。そんな町名ない、とは言い切れないけどな」

 

翔も頷く。

 

「地図を探さなきゃ、分からないか」

 

「地図~?」

 

大袈裟かもしれないけど仕方ないだろう?

 

じゃあ、二組に分かれるか。井上君の提案で、陽、翔と冬子、井上君の二組にわかれ

 

る。

 

「地図とか、ここがどこかわかるようなものを見つけたら、電話して」

 

了解。

 

ちょっとおどけて私たちは両手を高くあげるとハイタッチして

 

「じゃ・・・」

 

二手に分かれた。

 

陽たちが歩いて行くのを見送ると井上君が

 

「どこから行く?」

 

と聞いた。

 

聞かれてもねえ。

 

「他に住居表示が出てるところってあるか?電柱、表札・・・のほかに」

 

漠然とした言い方に、マズイかなと思った井上君が言い方を変えてくれた。

 

優しいよねえ。これなら答えられるわ。

 

「地図が出てるところ、あるよね」

 

「え?」

 

「地図。よくその市内の地図が載ってる看板あるじゃない。それからあっ、大きな

 

道路は?道路の名前とか。S市を通ってる街道ならわかるよね。それとそれ

 

と・・・・不動産屋さん!!」

 

冬子は必死になって考えた。

「不動産屋・・?」

 

「うん。そこなら地図があるでしょ?ここがどこか見せてもらえるよ」

 

前に従姉妹のお姉ちゃんが大学に入って一人暮らしをする時、アパート探しに付き合

 

ったことがあった。一緒に不動産屋に入ったらこの辺りですよって、地図見せてくれ

 

たっけ。

 

「よし。じゃあ、冬子が言ったのを片っ端から探そう。それに交番があれば一番

 

だな」

 

井上君が冬子の肩に手を置く。

 

「でも、なんて聞くの?ここどこですか?って?こんな大きな迷子?」

 

井上君は今度は冬子の頭をクシャッと撫でると

 

「そ、冬子に夢中になって歩いてたら、迷子になりました、って答えるのさ」

 

白い歯を見せて笑った。

 

やだ・・きゅん・・・。