学校へ着いたら大騒ぎだった。
私は敢えて双子の兄のことは言ってなかったのだ。兄弟居るの?と聞かれて、兄が
二人と妹、弟が一人づつ。・・・・嘘は言ってないもんね。
それがイケメンで長身でしかも金髪と来ていたら
「え?ホントにありすのお兄さんなの?」
美都子はクリスマスの時に来ているので知っているけど、ほかのクラスメートは知ら
ないのだ。たちまち校門前に人だかりができてしまった。
「あると、かなと、もう大丈夫、行って」
そう言うのが精いっぱいだった。
「わかった、気を付けろよ」
・・・ダメだ、こりゃ。
昨日、パパがこれじゃ心配だから来年度からあるとたちを私の学校に編入させたら
どうかって言ってたけど、これじゃ火に油を注ぐものかもしれない。
あるとたちを見送って美都子と一緒に教室へ向かう。さあ、切り替えないとね。
試験だ。
一夜漬けで数学の得意なあるとに昨日教えて貰ったけど・・・・さて、ヤマが当たる
かどうか。
ともあれ学生の辛いところだ。
あるとたち、ちゃんと間に合うかな、そんなことを考えながら席について最後のあが
きとばかりに一時間目の数学の教科書を出した。