もし自分以外の人の時間が止まったら・・・

自分は動いてるのに、自分以外の人は微動だにしない。

誰も動かない音もない世界。自分以外生きてることを感じられない世界。

もし、そんな世界に放り込まれたら・・・

 

平ゼロと呼ばれる平成の009には単行本から取り上げられたお話が

いくつもあります。これもその一つ

 

 

 

第33話 「結晶時間」

 

 

 

 

張々湖飯店のある商店街。007は一人で006の料理を食べていた。

 

そこに来ていた3人家族の子供を、可愛いなあと眺める007。

 

 

 

食べ終わった007は餃子を3人前包んでくれと頼む。

 

一緒に来ればよかったのに、という006に今日は009のメンテナンスで

 

博士も来れない、003は001の子守をしているから無理だという。

 

 

 

 

 

危険物を載せたトラックが走っていた。

 

運転手は眠くてうとうとしてはハッと目が覚めるという、極めて怖い運転しながら

 

商店街を走っていた。

 

3人家族が会計を済ませて出ていく。風船を貰って大喜びの子供。

 

そしてとうとう、居眠り暴走トラックは女の子の目の前で商店街のお店に

 

激突して止まった。

 

 

 

その音で何ごとだと飛び出す006と007。

 

 

運転手はその衝撃で起き、ふらふらとトラックを出てくる。

 

爆発の衝撃で火花が危険物に引火し、爆発しそうだと言うのを

 

見つけた007が女の子を連れ戻そうとした瞬間、トラックは爆発を起こした。


 

 

 

 

 

 

ギルモア邸では、009のメンテナンスが行われていた。

 

 

 

003はバレリーナのオルゴールのねじを巻き、001にミルクを持ってくる。

 

そこへ博士がコーヒーを淹れてほしいと頼み

 

003は博士に、ミルク持ってったら淹れますねと言う。

 

  

 

003はミルクを持って001の元へ向かう。

 

博士はメンテナンスは終わったけれどもし不具合でもあったら・・・と

 

メモを残そうと机に向かった。

 

 

商店街でトラックが爆発したその瞬間、ギルモア邸の時間も止まり

 

そして世界の時間が止まった。

 

 

 

目覚める009。

 

静かで音が聞こえないことに不安になるが、そうか加速装置のスイッチが

 

入ったままだったんだと、奥歯のスイッチを噛む。

 

 

 

だが何度やっても音は聞こえない。

 

治ってないんだな、博士に治してもらおうと009は服を着て部屋の方へ向かう。

 

003が001のミルクを持ったまま立っていた。

 

動かない003に違和感を抱く009。博士の元へ向かうが博士も動かない。

 

 

 

 

 

 

009は不安になり、外へ出るが

 

海は波が止まったまま、砂浜は走ると009の走ったところだけくぼんだ。

 

石を投げても途中で止まってしまう。

 

 

 

加速装置が壊れて、僕だけ動いてる世界に取り残されてしまった。

 

ジョーは不安になる。

 

このまま加速装置が治らなかったら僕は一生この世界の中に

 

いるしかないのか・・・・

 

 

 

途方に暮れた009は商店街の方へ歩いていく。

 

 

 

 

ふと目に入った紙を触ると、紙はぼっと燃えて消えた。

 

加速装置のスイッチが入ったままで移動させようとすると、普通の物体は燃えて

 

しまう。

 

更に歩いて009は、飯店の前で驚いている006と007を見つける。

 

 

何に驚いてるのだろうと先へ進み、トラックの爆発の瞬間を見つける。

 

 

慌ててトラックの前に立ったままの女の子を助けようと手を掛けようとするが

 

その女の子も普通の人間、加速装置のスピードには耐えられないと

 

手を放す。

 

なら、大量の水で鎮火させようとビルの屋上のタンクに穴をあけるが

 

 

 

 

時間が止まっているので、水は飛び出したまま止まってしまった。

 

考えた挙句、009はトラックの近くにいた人たちの真下に

 

それぞれ穴を掘った。

 

 

 

 

またギルモア邸に戻るが、やはり誰も動かない。

 

 

このままずっと僕は一人で誰とも触れ合わないで生きるのか・・・・

 

絶望的になる009。

 

 

 

2日過ぎた。僕だけの2日。ジョーの絶望感は増すばかりだった。

 

同じ空間に生きているのに、自分とみんなは違う。

 

このまま一人で誰の声も聴けず誰とも触れ合えなかったら・・・・


 

 

10日目。一人で孤独な時間を過ごす009。

 

だけど途中で003の目が閉じてることに気付く。

 


 

 

さっきまでは開いていたのに。

 

ということは君は違う時間で生きているんだね、009は大笑いする・・・が

 

すぐにまた落ち込む。

 

なんでもいいから動いてくれ!!

 

 

1か月が過ぎた。

 

1か月、ジョーは一人で生きた。

 

 

 

空を見ると飛行機が飛んでいた。飛行機に向かって動いてくれと念じるが

 

動かない。

 

 

 

博士の元へ向かう。僕はどうしたらいいんですか・・・・

 

すると博士が手紙を書いている途中だったことにようやく気付く。

 

だけど「ジョーへ」それ以上分からない。

 

 

 

 

フランソワーズの幻聴まで聞こえてしまう始末。

 

「いよいよ頭までおかしくなったんだ」と爆笑するジョー。

 

 

ずっと子供の頃から一人だったんだ、しっかりしろ・・・・

 

そう言い聞かせても不安は収まらない。そこに飛行機の音が聞こえてきた。

 

音がする!

 

思わず顔を挙げる009。そして飛行機に向かって思い切り叫んでいると

 

 

 

「009、どうしたの、大きな声を出して・・・・」

 

003の声が聞こえてきた。

 

 

思わず駆け寄り、003を抱きしめる009。

 

 

 

安堵のジョー。

寂しかったものね

 

 

 

 

 

 

 

003,うれしいけれどびっくりする(笑)

 

 

 

その瞬間、商店街では大爆発が動き出した。

 

同時に屋上のタンクから勢いよく水が流れ出し、見る見るうちに火災は

 

鎮火する。

 

 

 

 

呆気にとられる007、慌ててそばにいた子供、と探すがいない。

 

現場まで進むとそこに大きな穴が開いていて、母親と子供がいた。

 

 

 

 

他の穴には運転手、更に他の穴には他の客が落ちていた。

 

トラックの周りにいた人はみんなジョーが作った穴に落ちて無事だった。

 

 

 

 

ギルモア邸に来ている007と006

 

本当に不思議な出来事だった、と話す006。

 

 

博士は「ずいぶん早く目が覚めたんだな」と009にいう。

 

「どこも悪くないか」と聴く博士に「ええ」と答える009。

 

加速装置をいじったから、万が一のために手紙を書いたんだ。

 

ジョーは思わず「なんて書いたんですか」

 

「もし予定より早く目覚めて加速装置のスイッチが作動しないかもしれないが

 

自然に戻るから心配しないように」

 

そう話す博士に思わず009は大笑いをし、

 

 

 

007に「変なところをいじったんじゃ・・・」と言われ、「馬鹿を言うな」と

 

怒る博士。

 

 

ジョーは笑いながら「なんでもないんだ」そう言うとテラスに出て

 

思わず涙を流した。


 

 

 

当たり前のみんなと触れ合える日常が、この当たり前が一番の幸せ。

 

みんなが生きて動いてるこの日常がかけがえのない幸せ。

 

 

 

 

 

 

風船もった女の子が可愛かったのと、ホッとしたジョー

 

思わずフランソワーズを抱きしめるジョーが可愛かったので

 

今回はこの三枚をチョイスして描いてみました。

 

 

 

 

 

 

 

ほんと自分以外の人が、生き物がすべて動かなかったら

 

ほんと寂しいなあ。そして不安になるよね。

 

 

当たり前のことを当たり前と思わずに生きていきたいですね。