翌日ママは早速、ツリーセットを購入してきた。

 

一緒に窓に絵を描くためスプレーを買ったり、庭の木に電球を買ったり。

 

私もえりさも学校帰りに一緒に行って、リースの道具を買ってきた。玄関に飾る

 

クリスマスリースを作るのだ。

 

その日の夜にパパが帰宅する頃は、すっかり家はクリスマス一色になっていた。

 

「嘆かわしい・・・実に嘆かわしい・・・」

 

最初はそうやって抵抗していたが、食事終わる頃にはりうと一緒に、やはり買って

 

きたクリスマスソングのCDに合わせて歌っていた。

 

全く、素直じゃないんだから。

 

食事の後はコーヒーを飲みながら、みんなで大きなツリーに飾り付け。

 

りうとえりさのために・・とか言いながら結構私も楽しかったし、ママもパパも

 

楽しそうに飾り付けしてた。

 

あるとたちも例外じゃなかったようで

 

「来年はもっと違うオーナメントも買ってこようか」なんて言ってた。

 

りうはどんどんきれいに飾り付けられていくツリーに歓声を上げていて

 

「りうの情操教育には、日本の環境はいいかもしれないわ」

 

ママはりうの頭を撫でながら

 

「遅ればせながら、えりさにもこういう楽しい思いで作ってあげたいし、ありすにも

 

あるともかなとにも味あわせてあげたいのよ」

 

「俺たちはもう大人だぜ」

 

ちょっと照れながらかなとが言うと

 

「何言ってるのよ、私にはいつまでもかわいい子供だわ」

 

ママがかなとを抱きしめて、かなとはまっかになった。

 

「まだ未成年だしね」

 

ママがあるとも抱きしめる。

 

「ありすやえりさにはロマンチックな行事一杯見せてあげたいしね」

 

えへへ・・・久しぶりにママに抱きしめて貰っちゃった。おっと、パパがまた苦虫

 

噛み潰したような顔をしてる。

 

パパもママに抱きしめて貰いたかったのかしらね・・・・なんて。

 

でもママは知らん顔してまた、飾り付けを始めた。

 

一通り飾り付けが終わって、金や赤のモールをかけて

 

「いいわよ、あ、部屋の電気消して」

 

私の声にえりさが、電気のスイッチを入れて、かなとが部屋の電気を消した。

 

「うわあ・・・・」

 

りうが口をポカンと開けて見入っている。

 

暗闇に電飾を施したツリーが宝石箱のように、きらきら輝きを放っている。

 

プレゼントのオーナメントは、本物のプレゼントのように見える。

 

りうだけでなく、えりさも私も、あるとやかなとまで見入ってしまった。

 

「綺麗ね」

 

「うん。これならお友達も喜ぶね」

 

えりさも満足そうだった。

 

「お友達は何人呼ぶつもりなの?

 

ママが聞くと

 

「えっと・・・花梨ちゃんと、由香利ちゃん、それから正広君と、慎吾君かな」

 

パパがガバッとソファから起き上がって

 

「・・・・・男も呼ぶのか!!」

 

「パパ!!」

 

全くねえ、小学生なんだからさ。「男」はないわよね。

 

「じゃあ、えりさ入れて全部で5人ね。あと、お兄ちゃん達の分と、楽しみね、

 

何を作ろうかしら」

 

「だ・・って、小学生なのにBFなんて早すぎないか?」

 

「小学生だぜ、そんなこと考えてもないって」

 

パパをたしなめるのはあるとたちに任せて、もうママは何も言わない。

 

「パパはちょっと黙っててよ」

 

えりさがパパをちょっと睨んだ。あ~あ、もう知らないよ。

 

途端に慌てて

 

「そ・・そうか。じゃあ、パパ、ケーキでも買ってこようか」

 

取り繕うが

 

「ママやありすちゃんと作るからいい」

 

えりさは冷たく言い放った。

 

多少は同情するけど敢えて言うなら、パパはもう何も言わない方がいいと思うな。