四人で本屋に入り、立ち読みをする。
一応本を買えるだけのおこづかいは持ってきているけど、欲しいもの全部買える
ほどは、当然ながら・・・・ない。
何が一番欲しいか、吟味するための立ち読みだ・・・・言い訳。
でも、ここでも趣味がものすごく顕著に表れる。
あるとは、建築関係の雑誌。
意外だと言うと怒られそうだが、めんどくさがりやでちょっとお城が壊れても修理
しないパパの代わりに、修理作業を受け持ったあるとはやるうちになぜか、昔の建築
様式に興味を持った。今も手に取って熱心に見てるのは『宮大工豆知識』。
どうせなら、近代建築に興味持って欲しかったわ。そしたら家の修理もお手の物
だったのに。
かなとは、メンズ向けファッション雑誌。これはある程度で阻止しないと、大変な
ことになるかな。
えりさは、もちろんロック関係の音楽雑誌。こっちで『デイシー』に代わるお気に
入りが見つかればいいけど。
でもって私は、ファンタジー小説。
・・・少女趣味?悪かったわね。一応女の子、いつか王子様がって夢も見るわよ。
あんな牢獄のようなお城に居たんだもの。
いつか・・・・私を見染めたという人が現れて「ありすさんをお嫁にください」
くらい言って、私をここから救い出して~なんて真剣に考えていたもの。
それにしても、さすが日本の本屋さん、品数がルーマニアのあの村の本屋とは
大違い・・・って比べる方が間違っているけど。
おかげでどれを買おうか、う~ん悩む。
ふと、店内がざわざわして顔をあげる。もちろん、広い本屋。普通の人には聞こえ
ないだろう距離から聞こえて来る。
目を凝らせば、一角に何やら人だかり・・・・ちょっと悪い予感。
耳をすませると『ありす~』情けない声が聞こえる。
私は、読みかけの小説を置くと、その一角の方に向かった。