結局待っても二クラスの実行委員は来なくてこれ以上待てんな、と言う

 

高橋先生が、実行委員長の代わりに伝達事項を伝え、こなかった二クラスのうち、

 

三年生のクラスの二人を実行委員長と副委員長に任命してしまった。

 

「じゃあ、明日、体育祭委員を3名、選出して来週月曜日にもう一度全員揃って

 

実行委員会だ。何せ新学年になってすぐの体育祭だ、時間がないから忙しいぞ、

 

では・・・・解散、ご苦労さん!」

 

一斉にガタガタと椅子を鳴らして立ち上がる。

 

そうなんだよね、新学年になって僅か2か月で体育祭。

 

なのにリレー選手を選んだり、応援合戦のメンバーを選んだり、各種目に出場

 

する選手を選んだり・・・・あろうことか男女混合でダンスもあるのだ。

 

2か月って言ったって毎日体育があるわけじゃない、週に2日ほどだ。

 

合同練習を入れても毎日ではない。

 

それでも、まだ6月の頭だからいい。酷いところは5月に体育祭と言う学校も

 

あるのだ。

 

なんでも昔は10月に体育祭と言うのは行われていたらしいけど、そうすると

 

11月の文化祭と被ってしまう期間があるし、秋は台風が多いと言う理由で

 

いつの間にか春になったらしい。

 

まあ、真夏に体育祭なんてごめんだし、真冬はもっと嫌だ・・・・で、秋が

 

ダメとなると春しかないんだろうね。

 

でも、これから直ぐに中間テストがあって、終われば体育祭。

 

体育祭が終って6月終わりか7月頭には期末テスト、そしたら夏休み・・・・・

 

あっという間だ。

 

その間に学年別の郊外授業と称して遠足みたいな感じで近場に出掛けるし、

 

2年生は9月早々に修学旅行もある。

 

行事詰込み過ぎだと思うけど、仕方ないのかな。

 

「菜桜!」

 

教室を出たところで杏子が声を掛けた。

 

「尚人さん、校門に居る。あの孝宏と一緒に。さっき、尚人さんだけ来て二人の

 

荷物も運んでくれたからあとは私たちが行くだけよ、行こう」

 

それは助かった。菜桜のノートなどを杏子が持ち、孝宏が菜桜を支えるようにして

 

昇降口から外に出る。

 

う~、ホントに早く治らないかな。早く走りたいよ。もどかしい気持ちしかない。

 

「あっちの孝宏ね、一緒に荷物を運ぼうと思って来ようと思ったらしいんだけど、

 

思いとどまったらしいわ」

 

「へえ、なんで?」

 

「だって万一誰かに見られたら・・・・浅井君二人?って驚かれるでしょ」

 

杏子は笑った。なるほどね。

 

リスクは少ない方がいい。

 

足早に校庭を突っ切って、急いで校門をくぐる。

 

と、尚人兄さんが青い顔をして、急げ、と私たちを手招きしているのが、見えた。