50頁の本です。

 

でも、当時900円だったなあ。

これを販売しようとする人が、どうしてもこの作家の最初で最後の作品を

復刻させたいといい、それに賛同した人が購入したんじゃなかったかな。

 

 

「エリノア」

 

作者の谷口ひとみさんは、当時高校二年生

 

 

お話は、とある国のお城に勤める醜い召使い、エリノアの物語。

 

自分の容姿が醜いことを常にコンプレックスに思ってるエリノア。

 

二人の王子様のうち、アルバート王子を気に入っています。

 

 

 

みんながお城の森のお祭りに出掛ける中、一人いけないと

 

留守番するエリノアの元に、天国から仙女さまが降りてきて、

 

今日は誕生日だから、30時間だけエリノアを美しい少女に変身させて

 

あげます、と言ってくれます。

 

但し、水には元の姿が映ってしまうので、気を付けるように。

 

仙女はそう注意します。

 

エリノアは喜んで、森でのお祭りに行き、そこでアルバート王子に出会い

 

エリノアは、美しさからプロポーズされるのですが

 

本当のことを言えません。

 

 

 

そんなとき、湖に自分の姿が映ってしまい、それを見たアルバートは

 

「やはりこんな醜いひととは、結婚できない」と去ってしまいます。

 

そしてその辛さからアルバートはお酒をひと瓶飲んでしまい、

 

意識不明になってしまいます。

 

 

何とかアルバートを助けてほしい。そう願ったエリノアのところに

 

仙女が現れ、助けるにはアルバートを愛する人の命が必要だと告げます。

 

「あなたはその人の命を自分で奪わなくちゃいけない」

 

 

 

 

エリノアは愛してるのは私だから、自分の命を奪えばいい、というのだけど

 

「恋するものは相手の為になら命を簡単に捨てるから、あなたではダメだ

もう一人、彼を愛する人、母親の命を奪いなさい」

 

 

最初は出来ない、というエリノアでしたが、愛する彼の為にやるといい

 

王妃を殺害しようとしますが、やはりできないエリノア、

 

すると王妃が私が死ねば、息子が助かるなら、と自ら剣を自分に充て、

 

それを見たエリノアは「止めて、王妃様」と王妃を止めます。

 

それを見た仙女が、

 

「それでいいのです。王妃様は命を投げ出されたも同じです。

だからエリノア、あなたの命でもいいのです」

 

エリノアは「私の命がアルバートの命になるのなら喜んで」

 

「でも、アルバートは貴方のことを忘れてしまいますよ」

 

それでもいい、そしてエリノアの命がアルバートに吹き込まれます。

 

 

 

翌日、王子は他の召使から「エリノアは貴方が好きだったんです」と言われ

一目、会ってあげてほしいと頼まれて会いに行きます。

 

王子は当然、エリノアのことを覚えてはいませんでした。

 

 

 

作者の谷口ひとみさんは、

この作品を描き、第四回の新人賞の授賞式に出席、その一か月後に

急死しました。

 

 

漫画家になることを夢見た、谷口さん、

 

受賞作は本誌に掲載されたけれども、単行本にはなっていないということで

 

あの時、こう言う企画が出たのだと思います。

 

もし元気だったら、いま70代半ば。

 

日本の漫画史を変えていたかもしれません。

 

 

 

 

 

一人の新人漫画の存在を知って欲しくて・・・・