002の手に引っ張られて空を飛ぶ009。

 

 

 

申し訳ないという009に、もとはと言えば、自分の国のせいだ、という002。

 

「簡単に原爆なんか使って、これでサンフランシスコは丸一日で放射能の嵐に

巻き込まれるんだ」苦々しく呟く。

 

 

 

一方与那島の海底では、次々と戦争で沈んだ戦闘機や船が浮かび上がってきた。

 

 

 

沈んで朽ち果てたゼロ戦、軍艦などが綺麗に復元されて

 

海上に浮かんでくる。

 

 

与那島が見えた頃、二人の目に003の乗った飛行機が戦闘機に襲われているのが

見えた。

 

 

 

 

 

海軍最後の戦闘機雷電が003達を襲う。

 

二人は003達を救い、全員で与那島に向かった。

 

 

 

 

 

与那島。

 

 

 

 

 

 

ありがとう、と礼という003に、「今の雷電は怪しいよ」という001。

 

明らかにサイボーグたちがここに来るのを妨害しようとしているという。

 

 

博士がカギを握っている。4人は博士のいる基地を探すことにした。

 

003が何か途方もなく大きなものが近づいてくる、と音をキャッチする。

 

 

 

島の陰から姿を現した大戦艦は4人を狙ってくる。

 

 

あの洞穴へ逃げ込め!  009の言葉に洞窟に逃げ込む4人

 

 

 

すると洞窟内を走る4人に001が「ちょっと待って」と呼びかけた。

 

 

 

「ここが平博士の研究所だ、この30m向こうを左に曲がったところに

平博士がいる。

 

恐ろしい念力の波があふれ出てる、執念のエネルギーで押しつぶしそうだ」

 

更に進む4人はその突き当りに辿り着いた。

 

 

 

念力と闘うのに疲れた001が眠りについてしまう。

 

4人は中にはいり込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

すると、奥にヘルメットを被った白髪の老人が座っていた。

 

 

 

今更説明のようもあるまいが、事件はすべてわしのしたことだ、

 

平は今までの起こしたことをすべて自分のことだと言った。

 

 

 

 

002に向かい、

 

「キミはアメリカ人らしいが、気の毒だが長門はあと2時間でサンフランシスコに

突入し、放射能をまき散らす」と宣言、002はとびかかろうとしたが

強力なバリヤーに弾き飛ばされた。

 

 

 

レイガン光線をも弾き飛ばされる。

 

 

 

 

「よしたまえ。連合艦隊を復活させた私の力を見くびってはいかん」

 

009 「復活だって?一体何でそんなことが出来るんだ」

 

平「この機械が私のイメージを形に表すのだ。私は神に等しい力を持ったのだ。

 

光あれよ、と言えば光あるき、日本海軍復活せよと叫べばご承知の通りだ」

 

「信じられない、そんなことが出来るなんて」と驚く009に

 

 

「君は若い。人間の精神力がいかに広大で強力であるかを知らんのだ。

人間の脳は一生かかっても三分の一しか使われていない。

・・・・・(略)・・・・

かくて長門は浮かび、金門湾に出撃する。

地獄の炎がゴールデンゲートブリッジを飴のように曲げるのだ!!」

 

 

サンフランシスコに向かう長門

 

 

 

 

「そんなバカな、平博士、あなたは気が狂っている」

 

「狂っているのは私ではない、人間だ、おまえたちだ」

 

「何だって!?」  

 

 

 

「かつて日本は謝れぬ戦いをし若い命を犠牲にしてしまった。

 

その時我々は彼らの魂に何と誓った?」

 

戦禍の中に倒れる母親のそばで泣き叫ぶ子供。

 

 

広島の碑

 

 

 

「私たちは戦争放棄を憲法によって定め、2度と軍隊を持たぬと宣言した。

 

世界中がもう戦争はこりごりだ、心から考えたはずだ。

 

何故ならそれだけが死者の霊を慰めるたった一つの方法だったから」

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その誓いは虚しかった。

 

原爆ドームの上を飛行する飛行機。

 

 

 

「世界は軍備の拡張に兵器を強める競争にしのぎを削った」

 

苦々しくつぶやく平博士。

 

 

「・・・・・私の一人息子は戦争で死んだ」

 

 

 

「死者が生きて帰らぬ以上、生きるわしは何をなすべきか

 

これがわしの回答だ!」

 

 

 

 

 

 

飛び交う飛行機から次々にミサイルが発射され、機体が次々に爆発する。

 

 

その様子に嬉しそうに笑う平博士。

 

009もやめろ、と飛びかかるが、バリヤーに弾き飛ばされる。

 

 

 

「無駄だというのに」

 

 

「やめるもんか、その悪魔の機械をぶっ潰すまで僕はやめないぞ」

 

 

更にとびかかる009。何度もバリヤーに跳ね飛ばされる。

 

 

「悪魔の機械だと?」

 

 

 

 

「そうだ、あなたは神になったつもりだろうが、それは違う、悪魔だ!

 

争いを憎むといいながら次々と戦いを生み、争いをまき散らしているじゃないか。

 

念力でサンフランシスコが見えるなら、見るがいい」

 

 

 

009の言葉にちょっと顔を歪めた平博士は、サンフランシスコの様子を見た。

 

 

長門が近づいてきて逃げ惑う人々。

 

 

母親とはぐれた赤ちゃん

 

 

 

唖然とする平博士。

 

 

 

 

「一人の息子を失ったあなたはその千倍の悲劇を作ろうとしている!」

 

その言葉にショックを受ける平博士。

 

 

「わしは、わしは間違っていない・・・死んだ息子を弔う道はこれしか

ないんだ」

 

と困惑する博士に

 

 

 

 

 

・・・パパ。

 

 

平博士の隣に亡くなった息子が現れる。

 

 

 

 

「雄太郎、どうしたことだ、おまえがここに来るなんて」

 

「パパが呼んだんだよ、

心のどこかで僕に逢いたい、会って僕の意見を聴きたい、そう思ったんだよ」

 

 

 

 

「そんなことはない、おまえの気持ちはわかっとる」

 

 

雄太郎と話す博士だが、009たちにはその姿は見えない。

 

 

 

 

 

「ホントにそう思う?」 

 

 

 

 

雄太郎がそっと平博士のヘルメットを外す。

 

 

途端、長門が動きを止め、サンフランシスコに突っ込まずに沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

「パパ、 僕たちの魂をこれ以上いじらないでくれないか。

 

おねがいだ、昔の優しいパパに戻っておくれ

 

僕と一緒にトンボとりをしてくれたパパみたいに」

 

 

 

 

 

昔を思い出す平博士。

 

 

 

 

「雄太郎、私はまだ、おまえを抱いてやることが出来るだろうか」

 

 

 

 

頷く雄太郎。

 

 

 

 

「雄太郎、雄太郎、可哀想なせがれ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

ひっそりと、沈む戦艦、動きを止め朽ちて行くゼロ戦。

 

全てが元に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

昔のように眠る船の上をドルフィン号が通りすぎる。

 

 

 

 

平博士は急に様子が変わり、倒れてしまい、亡くなった。

 

 

多分彼は自分の間違いに気が付いたのだ。何かの力がそうさせ、そのため

念力の力が急速に消耗してしまったんだ・・というギルモア博士。

 

   

 

「だけど、狂った悪魔は平博士だったのか、それとも平和の名を借りて

戦争の準備を怠らぬ人間どもの方だったのか・・・・・」

 

最後のギルモア博士の言葉が重い。

 

 

 

 

                            完