続・白雪姫
ダグラス王とダリア王妃は貴族の集会へ。
貴族だけの秘密の会合。
広い屋敷に独りぼっちになるのは、これが初めてではない。
…初めてではなかったが、寂しいことに代わりなかった。
そこで白雪姫は、黒猫を構うことにした。
「おいで」
ふかふかの絨毯の上に四つん這いになって、パタパタとネコジャラシを振る。
クッションの敷き詰められた籠の中で丸くなっていた猫は、そんな白雪姫をチラリと見ると、やれやれと言いたげな様子で身を起こした。
しなやかな動きで白雪姫に歩み寄り、ネコジャラシを前足で踏む。
「じゃれて遊ばないの?」
首を傾げる白雪姫を、黒猫は真紅の瞳を細めて見上げた。
そうしてゆっくりと尻尾を揺らす姿に、白雪姫は別の遊びを思いついてにっこりする。
「じゃあ、お風呂に入りましょうか? 綺麗に洗ってあげる」
いつもは、いつの間にか人型に戻って勝手に入浴してしまうから、前から一度やってみたかったのだ。
黒猫を抱き上げると、白雪姫は意気揚々と浴室に向かった。
──そして、一時間後……
「ア…アップルゲートの、馬鹿、変態…! あ、あんな恥ずかしいことするなんて……」
白雪姫は、長身にバスローブを羽織ったアップルゲートに抱きかかえられて浴室から出て来た。
アップルゲートの洗い立ての黒髪からは水滴が滴り、甘い香りが漂っている。
そして、その腕の中にいる白雪姫もまた、薄い桃色に染まった肌から念入りに洗われた証拠である湯気を立ちのぼらせていた。
二人の違いはと言えば、洗われている間、黒猫は暴れなかったが、白雪姫は暴れた為に息が切れているということだけである。
「心外だな。されたことをそのままやり返してやっただけだろう」
「だ…だからって…あんな…っ!」
思い出してぷるぷる震える白雪姫。
真紅の瞳を細めてアップルゲートが笑う。
「クク…次の留守番が楽しみだ…」
暫くして帰宅したダグラス王が、抱きついてきた娘に「もう一人で留守番は嫌だ」と泣かれている頃、洗い洗われてさっぱりした黒猫は、ベッドの上で満足げに体を伸ばして眠っていた。
END
貴族だけの秘密の会合。
広い屋敷に独りぼっちになるのは、これが初めてではない。
…初めてではなかったが、寂しいことに代わりなかった。
そこで白雪姫は、黒猫を構うことにした。
「おいで」
ふかふかの絨毯の上に四つん這いになって、パタパタとネコジャラシを振る。
クッションの敷き詰められた籠の中で丸くなっていた猫は、そんな白雪姫をチラリと見ると、やれやれと言いたげな様子で身を起こした。
しなやかな動きで白雪姫に歩み寄り、ネコジャラシを前足で踏む。
「じゃれて遊ばないの?」
首を傾げる白雪姫を、黒猫は真紅の瞳を細めて見上げた。
そうしてゆっくりと尻尾を揺らす姿に、白雪姫は別の遊びを思いついてにっこりする。
「じゃあ、お風呂に入りましょうか? 綺麗に洗ってあげる」
いつもは、いつの間にか人型に戻って勝手に入浴してしまうから、前から一度やってみたかったのだ。
黒猫を抱き上げると、白雪姫は意気揚々と浴室に向かった。
──そして、一時間後……
「ア…アップルゲートの、馬鹿、変態…! あ、あんな恥ずかしいことするなんて……」
白雪姫は、長身にバスローブを羽織ったアップルゲートに抱きかかえられて浴室から出て来た。
アップルゲートの洗い立ての黒髪からは水滴が滴り、甘い香りが漂っている。
そして、その腕の中にいる白雪姫もまた、薄い桃色に染まった肌から念入りに洗われた証拠である湯気を立ちのぼらせていた。
二人の違いはと言えば、洗われている間、黒猫は暴れなかったが、白雪姫は暴れた為に息が切れているということだけである。
「心外だな。されたことをそのままやり返してやっただけだろう」
「だ…だからって…あんな…っ!」
思い出してぷるぷる震える白雪姫。
真紅の瞳を細めてアップルゲートが笑う。
「クク…次の留守番が楽しみだ…」
暫くして帰宅したダグラス王が、抱きついてきた娘に「もう一人で留守番は嫌だ」と泣かれている頃、洗い洗われてさっぱりした黒猫は、ベッドの上で満足げに体を伸ばして眠っていた。
END