今年は軽荷であくせく歩くことばかり考えてきたので山中でのんびりしたい。
冬も近いし、重荷背負って歩けるのかしらん?

で、今回は時間にとらわれず山中で自然満喫作戦。
丹沢はテント泊禁止だから避難小屋泊だけど、先客でいっぱいだと困るからテント泊装備。
いつものBBQ セットに薪、炭、ビールにガラスのコップと思いつくままザックに突っ込んだら21Kg と想定よりもチト重い。
まぁいいっか、歩荷トレーニングだから。

いつもトレーニングがてら登る檜洞丸上部にはモアイ岩なる岩があるらしい、こりゃ見に行かなくちゃね。
バリエーションルートだから2万5千図を忘れちゃいかん。今回こそはちゃんと現在地確認しながら行こ。

朝8時に西丹沢VC到着。VC前の燃えるようなモミジはすっかり葉を落としてしまっている。しかし、予想に反して駐車場はもう満車。
次から次へとマイカーでやってくる皆さんは一様に車の中から「アレーッ、停めるとこ無い~」ってな具合に口を半開きにしてキョロキョロするので、面白くてしばらく見てた。

            
                         紅葉の残り

30分近くそんなことをしていたが飽きてきたので紅葉の残りを見ながらつつじコースに向かう。8時過ぎに登り始めるのは少数派らしく、つつじコースで見掛けたハイカーは3人だけ。
しばらく登り、尾根を乗越すところからバリエーションルートに入る。
ヤブもなく、普通に緩い尾根登り。木々にはどうやったらルートミス出来るのかというほど沢山のお茶目なマーキングやら赤テープがあり、人影はないがバリエーション感ゼロ。
誰もいない穏やかで明るい尾根。枯れ葉を踏みしめる音を聞きながらのんびり歩くのは何とも贅沢な気分だ。

            

                         マーキング

9時36分 857m地点を過ぎるとすぐ足元に見える林道に降り立つ。林道を辿るだけだからルートミスはない。だからといって慢心していると現在位置があやふやになるので真面目腐って地形図と磁石を睨みながら進む。
10時10分 ユイバシ沢と思しき谷に到着したが、何の印もない。これまでの展開からしてマーキングが無いのはおかしいと思い、林道の先を偵察してみるがやはりここが取り付き点という結論に至り、突っ込んでいく。

登り始めるとすぐに鹿柵に突き当たり、地形をうかがいながら柵沿いに進んでみる。柵がなくなると傾斜がきつくなった。
マーキングの類は一切ないが、尾根を忠実にたどるだけなので北へ進むか、北東に進むのかというようなマクロ的ルートファインディングは必要ない。
ただ、10m進むのに右ルート、または左ルートはたまた直登するのが安全なのかというミクロ的ルートファインディング力は重要だ。山と身体のコンディションにもよるし、得手不得手は人によって違うので正解は無い。

何度か土壁のような傾斜に突き当たり、ハイステップやクライミングで云うところの「手に足」を駆使して突破する。
20キロも背負っているとロープなしではとても安全に撤退できない斜面なので、悪場で行き詰まると進退窮まってしまう。どんなリスクをどの程度許容するか考えながら慎重にルート選定する。
やっぱりロープは重要だよな~と過去に学ばない自分を呪う。

安全最優先で傾斜が緩むたびに水分とエネルギー補給を繰り返しゆっくり登っていく。足場にした土は崩れ、岩はぐらぐら、掴まった太い枯木は折れる、まったく信用ならない奴らだ。
難しくはないが危険度の高いセクションが続く。コレまだ続くのぉ?などと思い始める。
頭上を見上げると遥か高みに岩っぽいのがちょこんと見えた。モアイ岩なのか?

さらに30分近く斜面と格闘し、モアイ岩直下到着。時刻は13時。写真で見るモアイ岩は立派で15~20mくらいの岩場を想像していたのに実物は4ないし5メートル程度と案外しょぼい。(モアイちゃんごめんね)
岩からもう一段上がると人の声。3人パーティーであった。いくらか傾斜の緩い隣の尾根を登ってきたそうだ。私の荷物を見てそのデカさ重さに呆れておった。。。
きっとバカだと思われた。ハイその通り、バカです。分かってます。

            

                         モアイ岩

一般ルートに合流すると檜洞丸山頂へもうひと頑張り。14時 無事に山頂着。
以前はブナの大木が林立し、山頂であることが信じられないほど鬱蒼とした、幽玄さを漂わせた独特な、趣ある山頂だったが。ブナは軒並み立ち枯れ、明るい普通の山になってしまったのが残念。時の流れには抗えないな。
山頂にはツアー登山のグループがいたりしてそれなりの賑わいを見せていた。賑わい、とは言っても表丹沢に比べたら静かなものだ。

            

                         山頂

 

 

            

                         山頂から富士山

 

 

             

                           これから辿る尾根

おにぎりを食べるとこれと言って用事もないので犬越路峠に建つ犬越路避難小屋へ向かう。年々、コンビニのオニギリが不味く感じるが、気のせいなのかな?
大室山へと続く西へ延びる尾根を遠望すると目指す峠は遥か彼方。早く焼肉食べたいな~。
黄昏時の太陽に照らされ金色に輝く落ち葉が敷き詰められた登山道。気ままに穏やかな晩秋を味わう。誰もいないのを良いことに枯れ葉に寝そべり、青空をバックに飛んで行く飛行機を眺めたり。

            

                         避難小屋は最低鞍部に建つ 

 

 

            

                         夕暮れの登山道

16時避難小屋到着。このまま誰も来なければ気遣いが要らないんだけど。。。
昼間と違ってだいぶ寒くなってきたし、持参した缶ビールを少しでも冷やそうと風の当たる表のテラスに並べ、小屋内に戻って荷物整理。内部は案外暖かいので小屋内にテントを張るという暴挙は中止。

 

            

                         避難小屋が見えてきた  

 

 

      

                         犬路峠、奥に避難小屋

17時近くになると、さすがにもう人は来ないだろうと火をおこし、一人宴会の準備。アルミホイルでくるんで保冷剤代わりにいれたハンバーグもいい感じに解凍されている。
ホントは塩、コショウした塊肉を炙って焼けた表面だけをナイフでそぎ落としながら食べるというワイルドな西部劇の真似事をしたかったのだが、ブロック肉、売り切れてやんの。

肉を焼きながらグラスにビールを注ぐ。山中で酒を呑むのは初めて。最近は下界ですら吞まないが、今回は歩荷トレ&山でのんびり過ごすのが目的だからビールやガラスのコップを重りにしてみた。。
たった一人でテントなり小屋なりにいると、酒でもなきゃヒマを持て余し、寝るしかなくなるという事情もある。一人ですごろくやっても面白くねーし。

      

             宴会 

ガバガバ食べ、グビグビ呑む。肉は700gビールは3本。半年ぶりに呑んだ酒はともかく肉は食べ足りないが近所にスーパーもファミレスも焼き肉食べ放題もないので菓子なんぞを食べてると寒気が襲ってくる。
暗闇の中赤々とした熾きに近づくと遠赤効果で暖かい。

酔い覚ましに外に出ると月光は東の稜線に遮られ、街が近い丹沢にしては星がよく見え昴星団も確認できた。スバルと言えば、そろそろ車も買い換え時だなぁ。。。
東丹沢ではたとえ新月であっても街明かりがうるさく、こんな風に星が見えることはないだろう。

翌朝、西の空はどんよりと曇り、峰々の山頂部には雲がかかっていた。昨日見えていた富士山も見えない。天気が下り坂なのは知っていたので紅葉の名残を見ながらさっさと下山。

            

                         紅葉の名残 

9時には西丹沢VC に降り立った。
それにしても西丹沢の沢はいつ見ても澄んでて奇麗だな~

      

                         川魚が浮かんで見えた