春先から馬蹄形、馬蹄形と騒いでいたが、やっと本番。水は3リットル、荷物は9.5キロ。ビバークする羽目になった時、それなりに快適に過ごしたいとコレくらいになっちゃうんだよね~

土合山の家に前泊して朝4時出発。。。って雨降ってやんの。いきなりカッパかよ。
西黒尾根取り付きで学生風の男女混成6、7人パーティーに追い付く。2泊3日で馬蹄形だって、何と贅沢な、羨ましい。

私も時計ばっかり気にしてないでのんびりやってみたいものだ。
景色の良い場所に寝転がって流れる雲を眺めたり咲き乱れる高山植物を愛でたり。残念ながら絵を描くセンスは無いから鼻クソでもほじるか。
デカいのが取れたら鼻の通りも良くなり、達成感と相まって至福の時を過ごせるだろうに。

西黒尾根を登り始めると雨脚が強くなってテンションダダ下がり。嫌気が差したが、引き返したら、当然さっきの学生パーティーとすれ違う。
マズい事に「ワタシャ日帰り予定です」と虚勢を張り、エッ⁈ スゴーイなどと言われてしまったので戻るに戻れない。

のそのそ登りながら作戦を練る。
馬蹄形をやろうと思った理由は、①それをモチベーションにして山トレをする。②西黒尾根を登る。③「馬蹄形日帰り踏破したぞ」と威張る。(威張る相手がいないのはやや問題だが)
となると①はもう完遂したから西黒尾根さえ登ってしまえば当初の目的の三分の二は達成したことになる。約70点だ、万年落ちこぼれの自分には上出来。ヨシ、この作戦でいこう!
ピークに着いたらすぐさまロープウェイで下りちゃえば学生さんにもバレないし~

森の中を歩いているうちはそうでもなかったが、露岩が出てくると風雨が顔にビシビシ当たって鬱陶しい。

 

                

                     岩場が続く

     

    

              

                    懺悔岩ってコレか?


幾つか鎖場を抜けると、平標山を目指していたが中止したという二人組とすれ違う。何やら上部は荒れているという。
「厳剛新道との合流点はここよりすごい風です」そうか、そんなにスゴイのか。ってかココ無風じゃね?? さっきまですごかったのかな?とにかく上がってみよ。

懺悔岩の辺りまではそんなに気にならなかったが濡れた閃緑岩がよく滑る事!茂倉岳までの間、結構神経を使ったわー。
取り付きから2時間半で傾斜が緩み、日本三大急登のはずがあっけなく終了。

雨粒が小さくなってくると待望の雪渓。雪渓に入ったという事は肩の小屋は近いはず。何分くらいかな?アイゼンやピッケルはおろか、ストックも持ってないので急斜面が続くようだとそれこそ敗退せにゃならん。

 

                

                雪渓まで登って来たぞ 

 

              

                  オキの耳  


霧が濃く、先は見えない。コースを外さないようにと張られたロープ沿いをスリップしないようにそっと進む、40mも進んだだろうか、前方にひときわ高い方向指示版が見えた、おっ、見覚えあるぞ。
ありゃぁ肩の小屋直近の看板に違いない。

ってな風に肩の小屋を横目に通過。雨は止んだが風に乗った大きな霧の粒が身体を濡らすのでまだカッパは脱げない。
肩の小屋からトマの耳、オキの耳と進むと一瞬ではあるが霧が晴れて茂倉岳へのリッジが見えたり、これまた一瞬ではあるが青空が見えたり。
このまま下山するのも惜しくなり、カッパを脱ぎ、そのまま進むことにする。

 

                

                   行く手に走る雲

 

 

              

                一ノ倉岳避難小屋ちっちゃい 

一ノ倉岳のちっちゃ過ぎる避難小屋を通過。茂倉岳まではメインルートを辿るだけ、どんどん直進、快調だ。
しばらく行き、下りに入ると雪渓。足跡及びトレースっぽい形跡はなし。マズイ事に再びガスに巻かれ、周囲は真っ白けで方角だけが頼り。
初めはスリップを警戒して雪渓のすぐ横、雪の無い所を歩きたいが下るほどに雪渓が広がっていく。ルートミスするとたまらんと思い雪のリッジに上がり、外さないように下る。
ドキドキしながら15分も行くと雪が無くなり登山道も見え、無事茂倉岳に着きほっと一息。

 

               

                    茂倉岳山頂   

 

 

              

                  避難小屋が見えるな

茂倉岳からちょっと行くと避難小屋が見える。「アレッ?避難小屋なんてあったっけ?」まぁいいや、あそこで休憩しよう。
茂倉岳避難小屋で地図を確認、ルートミスをしていることが発覚。チェッ、余計な時間と体力を使っちまったぜ。30分のロス。
ダリー、ダリーとブツブツ言いながら茂倉岳まで登り返す。地図を確認する暇を惜しんだ結果がコレ。だからあくせく歩くのヤなんだよ~

茂倉岳山頂にはそれまでの分岐点と違い、ただの杭みたいなのが打ってあるだけ、これじゃぁ初めてだと見落としてまっすぐ進むよな、ハイキングマップでも直進っぽいし。
武能岳へは右に直角に曲がり、笹原の中を北側に伸びるこれまでよりもぐっと細いルートが続いていたのだ。

茂倉岳に登り着くと再び霧に囲まれる。時々西側の霧が流れ、遠望が効くようになったり。振り返ると歩いてきた稜線の東側に雲が詰まってる。
まだ曇ってはいるがおかげで陽射しが遮られ、汗かきの私には有難い。

 

               

               稜線東には雲が詰まっている

 

 

              

                   やっと武能岳

武能岳に着くころには雲低高度が上がり、周囲の山並みが見渡せる。頂上でしばらくボケっとし、武能岳を下り、笹原を進むと単独の女性とすれ違う、やはり馬蹄形日帰り、午前2時出発だって。強者だな。


蓬ヒュッテ手前のトレールの両脇に黄色い花が並んで咲いて歓迎してくれているようでちょっと嬉しい。
ここには宿泊客とか、テント組とか居て賑やかなんじゃないか、ジュース売ってたらズルして買ってしまえ等と目論んでしていたが無人。静かなもんだ。コースタイム的にはここが中間点。
笠ヶ岳を17時までに通過できない場合は直下の避難小屋でビバーク予定だからここで水を補給すべきだが、今日のペースならその必要はなさそうだ。

 

               

              花道がお出迎えのようで嬉しかった

 

 

              

                   蓬ヒュッテっす

アミノバイタルが効いたのか蓬峠から七つ小屋山へはササっとついた。行く手を見渡すと清水峠へは大分下り、遥か遠くのジャンクションピークへはそれ以上の登り返しがあってメンタルを削ぐ。

ズンズン進んでようやく清水峠。大分疲れた。白崩避難小屋に入り、靴ひもを緩めて寝転ぶ。握り飯やら菓子なんぞを食べ、再び出発。

 

                 

                あのトンガリは大源太山か

 

 

              

             避難小屋は三角屋根の先の黒い粒

 


ここからジャンクションピークへの登り返しがキツかった。。。行けども行けども北側に見える稜線と同じ高さにならず合流点が近づいてこないのは辛い。

 

                  

                ジャンクションピークへの登り 

 

 

               

                 やっとジャンクションピーク


バテバテでジャンクションピークに登り付く。ここからは勝手知ったる道。朝日岳へは高原然とした気分の良い道。素晴らしい景観。もう少し経てば大烏帽子の辺りには高山植物が咲き乱れるであろう。

 

                 

                朝日岳へは気持ちよい登路

 

 

              

                    朝日岳山頂



笠ヶ岳に着いたのが16時22分で予定より約30分遅れ。ちょうど途中でロスした時間分遅れてる。ゴールは近い、気が楽になって山頂に座り込む。谷川岳も見えるが、山頂には相変わらず雲がかかっている。
水も乏しくなってきたので計算をしながらケチケチ飲む。

 

               

           大烏帽子と小烏帽子、アレを越えれば笠ヶ岳

 

 

              

                 終わりが見えてきた


笠ヶ岳から白毛門へはマップタイムの1割増掛かって到着。6月終わりという時期がら、ヘッドランプ使わずに下山できる。もう時間などどうでもいいや。

 

               

               つ、ついに白毛門にたどり着く

 

 

              

               登山口の白毛門沢にかかる橋



踏ん張りが利かなくなってきた脚と終わりの来ない斜面に文句を言いながら休み休み下り、当初計画に15分遅れて土合橋到着。メデタシメデタシ。
疲労以外の不調は無かったから一応健脚ってことにしてね。
もう人は通らないだろうと素っ裸になって川に入って汗を流し、体を冷やす。今日はどこのロッジも休館だから宿無し。ビバーク装備が有難いぜ。

移動距離と累積登降高度は丹沢トレと同じなのにこっちのほうが疲れたし時間もかかった。なぜだか不明。悔しいからまたそのうちやるのかも。。。
とにかくこれで来月から時間を気にせずちんたら登山できるのが嬉しいわ~