3種のムカデと毒の失活 | アリ塚

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アリクイが混沌に導く、アリたちに築かれた秩序

なんだかオシャレなレストランの料理名みたいなタイトルです。「3種のキノコとホウレンソウのスフォルマート」みたいな。そうでもないか。

 

昼過ぎになんだかジムカデを飼いたくなり、夜帰宅してすぐに石や木片をひっくり返し、土をほじくって虫を探しました。その結果、3種類のムカデ1種類のカメムシその他諸々クマムシくんを捕まえました。

 

トビズムカデスタンダードセンチピード

 

目当てのジムカデ。ヤスデのような歩みの遅さ。

 

顎肢(がくし)はしっかりムカデだが、貧弱で人を噛まない。体も脆く、下手にいじると潰れる。

 

足がとても速いイシムカデ。小さいのでこちらも人を噛まない。2匹採取。

 

ツマキヘリカメムシだかオオツマキヘリカメムシだか。現時点ではオオツマキヘリだと思う。生きていたらまた後日。

 

普通のムカデがいることは分かっていましたが、欲しいと思ってすぐにジムカデを捕まえられるとは思っていませんでした。この結果に浮かれたのか、トビズムカデを手に乗せていじっていたら咬まれてしまいました(バカ)。

 

赤くなった左手中指基節。白い部分の中央に咬み痕がある。なんだか感動して咬まれたまま数秒見つめてしまった(バカ)。

 

幸いミニサイズのムカデ故、毒の量も大したことはありません。折角なので、過去に私が「ムカデに咬まれたときの対処法」として答えた温湯処置を試します。

 

ムカデの毒は恐らく複数の毒素で構成されていて、未解明ながら一部は酵素であるとされています。多くの酵素は高温や極端なpHの変化で立体構造が変わり、機能しなくなります(失活)。すなわち、理論上は酵素の毒素を高温に曝せば毒性が無くなるということです。

 

自身もメインの獲物も虫であるムカデの毒は最適温度が低いと考えられるので、40℃以上のお湯が良いでしょう。しかし、私はムカデで実践したことがありませんでした。

 

ロジャー・ベーコン曰く、『経験なくして、十分な知識は得られない』。論より証拠です。ちょうど虫の写真を撮ってから風呂に入って、それからブログを書こうと思っていたので、このまま入浴します。温度は高いほど効果があるため、高温差し湯で42℃超。10分ほど浸かって十分に体温を上げます。

 

温湯処置(入浴)後の同部位。血行が良くなり、肌には潤いがある

 

入浴前はピリピリとしていましたが(神経毒?)、入浴後は痛みも痺れも無くなりました。ただし、外傷そのものの痛みは少しあり、チクチクします。温湯処置の効果を文字通り肌で感じ、再び感動しました。間違ったことを教えてなくて良かった。

 

今回学んだことは、『ムカデに咬まれるのは入浴直前が良い』ということです。全身を十分な高温に曝せる機会はそうありません。薬が手元に無いときはとても有効です。一部の毒素を無効化できるとなれば、薬がある場合/病院に行く場合でも、とりあえずの温湯処置はすべきだと私は考えます。缶コーヒーの「あったか~い」が55℃程度ですから、これも使えるかもしれません。

 

注意中途半端な温度は症状を悪化させる可能性があるため危険です(冷やしたり、ぬるま湯に浸けたり)。また、火傷やのぼせ、ヒートショックには十分注意しましょう。稀にムカデアレルギーによるアナフィラキシーが確認されています。アレルギー体質の人や、ムカデに咬まれまくる人は警戒しておきたいですね。

 

多くのムカデは頭部と尾が同じ色。捕食者に対してどちらが頭なのか判らなくさせる効果があり、致命傷を回避できるのだ。

 

 

ところで、肝心のジムカデですが、なんと捕獲から数分で件のトビズムカデに捕食されてしまいました。冬なのでトビーも空腹だったのでしょう。ジムには可哀想なことをしました。小さくともトビズムカデはトビズムカデなのだと思い知らされる事件の連続でした。