ブラックプリンスの葉挿し① | アリ塚

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植物の繁殖には、『実生(みしょう:種子から育てること)』や『挿し木(さしき/茎や枝を土や水に挿してクローンを作ること)』など様々な方法が用いられる。多肉植物のメジャーな殖やし方としては、『葉挿し(はざし/はさし)』がある。

 

葉挿しとは読んで字の如く、『葉を挿し床に挿して根と芽を出させる』技術である。多肉植物に限った方法ではないが、葉が多肉質で貯水量が多いものは脱落した葉の寿命が長いため、葉挿しで殖やせるものが多い。エケベリア、サンセベリア、セダム、カランコエ、ハオルチアなどが代表的だが、その中にも葉挿しで殖やせないものがある小・中型のエケベリアは、葉挿しで容易に発根・発芽する。猛者は一株すべての葉をバラし、大量生産する。

 

エケベリア・リラシナ[Echeveria lilacina]』の葉挿し。クローンを手軽に作れる。

 

 

 

先日購入したエケベリア『ブラックプリンス[Echeveria × "Black Prince"]』。葉のほんの一部にだけ(ふ:ある特定の色素を持たない部分。)が入っていた。この斑は不安定なため、育てているうちに消えることがある。斑を維持するのに有効な手段の一つが、葉挿しである。斑の入った葉を外す→葉挿し→斑の入った芽が出る→斑入り個体の生産→売ってブラプリ御殿を建てる…というプランだ、最後のは嘘だけど。

 

ちゃんと芽が出るか、斑入りの芽が出るかは運次第だが、うまくいけば良斑(バランスが良く、消える可能性も低い斑)のものが出る。どうせ放っておいたら消えるのなら、やったほうが良い。また、下葉からどんどん枯れてゆくので、やるなら早めにやるべきだ。というわけで、今回は『エケ”ブラプリ”』の葉挿しをする。

 

※黒いエケベリアの出自・実態には諸説あるが、ここでは名札通り『ブラックプリンス』とする。

 

 

エケベリアの葉挿しでは、葉が茎と繋がっていた部分から芽が出るので、切断ではなく手でグリグリ引っ張ってもぎ取るのが良い。今回は斑入りの葉が少ないので、さらに半分に切っても芽が出るか実験する。通常、斑入りの芽は斑入りの部分からしか出ないので、切断した葉からも芽が出れば、斑入りを得るチャンスを増やせることになる。ただし、断片があまりに小さいと発芽前に乾いてしまうため、細断はできない。リラシナで発根は確認したことがあるが、芽が出る前に枯死してしまった。

 

 

舐め回すように株を観察し、葉を選定する。葉の裏に斑が入っていることも多々ある。

 

葉を左右に揺すってから引っ張ると取れる。

 

葉の付け根がこうなっていれば成功。

 

適当な容器に適当な土を入れて葉を表向きに置くだけ。土が無くても発根はする。今回は葉を切断してみたが、乾涸びるかもしれないので良い子は真似しない

 

 

腐敗予防のため根が出るまでは水を与えず、風通しの良い明るい日陰に置いておく。水をやる場合は無機質な土や砂に置き、カビに注意する。直射日光下では根が出る前に干乾びてしまう。寒いと発根しにくいので、室内でも良いだろう。いつかリラシナと並べて白黒コンビ姿パンダを拝みたいものだ。

 

 

ところでこのブラックプリンス、「黒助(くろすけ)」という名でも流通している。『ススワタリ』の俗称「まっくろくろすけ」からきているのだろうか。ダサいバイキンくん

 

 

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