東京都葛飾区のマンションに04年12月,政党ビラをまくために立ち入ったことで住居侵入罪で起訴された被告の男性に対し,東京地裁で無罪判決が言い渡されました。

 裁判長によると,近年の住民のプライバシー、防犯意識の高まりに触れつつ「ドアポストまで短時間立ち入っての配布が、明らかに許されないという合意が社会的に成立しているとはいえない」と判断し,この男性のマンション立ち入りには「正当な理由がある」として住居侵入罪の構成要件を満たしていないとしました。

 判決ではまず,「どんな時に立ち入りが許されるかは、社会通念を基準に、立ち入りの目的・態様に照らし、法秩序全体の見地からみて社会通念上、許される行為といえるか否かで判断するほかない」との判断枠組みがを示されました。

 そのうえで「立ち入りの滞在時間はせいぜい7、8分」と短時間だったことが重視され,更に,

 ○このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報  道もない。
 ○40年以上政治ビラを投函しているこの男性も立ち入りをとがめられたことはない

 と指摘。「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが、明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」とされました。

 判決は,明確な「立ち入り禁止」の警告に従わずに立ち入れば住居侵入罪にあたるとしましたが、このマンション玄関の張り紙では,「明確な立ち入り禁止の意思表示がされていない」と指摘,立ち入りに正当な理由があると結論づけました。

 この事件のポイントは,この男性が共産党のビラを投函していて逮捕されたという点です。とりわけ,
ピザのチラシなどを投函することは当たり前のように行われているのに,政党のビラだとどうしていけないのかという点です。私は別に共産党とは縁もゆかりもありませんが,これは明らかに共産党に対する不当な弾圧だと思えます。これが仮に自民党のチラシをまいていたら,この人は逮捕されなかったのではないでしょうか。

 憲法で保障されている言論,表現の自由を守るという精神に則った,賢明な判決であると思います。