「かもめ」 | ムル☆まり同盟

「かもめ」

かもめ―四幕の喜劇 (ロシア名作ライブラリー)/アントン・パーヴロヴィチ チェーホフ
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 日本では、チェーホフと言えば劇作家として有名ですよね。




 でも。


 彼は、生涯で500以上ものショートショートを書き残しているんです。しかも、ロシア人のツボにはまる(らしい)ブラックユーモアものが多く、私のロシア語教師は、これらをよく教材に使っていました。


 うわきをめぐるドタバタ劇やドロボウと寝たきり老人の悲哀あふれる会話など、皮肉たっぷりで、ちょっぴり物悲しくなりながらも、クスっと笑える短編の数々。文学的価値は疑問(?!)ですが、時間のいっぱいある駐在員のオクサンが、日常会話によく使う表現を覚えるには確かに打ってつけの教材でした。

 私がペテルブルクで「ワーニャ伯父さん」を観て来た、と告げたとき、この家庭教師は鼻で笑いました。


「あなたねぇ、チェーホフは小説作家よ。彼が晩年、戯曲を立て続けに発表したとき、ロシア人は皆、失望したのよ、あれだけ愛される作品を書き続けた人が、どうして最後にあんなよけいなものをって。駄作ばっかり!!それで、あなた、面白かったの?」


 「ワーニャ伯父さん」は見ごたえのある劇でした。


 時代設定はまったく違うのですが、彼の生き方には、現代の日本人が抱える問題や日々考えることとオーバーラップするところが多々あり、セリフの中には自分の代弁をしてくれていると感じるフレーズが散りばめられていました。ラストでは涙が止まらなかったのを覚えています。(もちろん、日本語で戯曲を読んで予習していったから、内容がわかったのですが。(;^_^A)


 実際のところ、モスクワのあれだけの数の劇場で、チェーホフがバンバン上演されているのに、私のロシア語教師のような考え方の人がそんなにたくさんいるとは思えないのですが、どうなんでしょうねぇ。家庭教師によれば、チェーホフを劇場に観にいく人たちというのは、「自分がどれだけインテリであるかをひけらかしにいくような輩」なんですって。(でも、ペテの友人もトルストイやチェーホフには興味なしって言ってたなぁ・・・。)



 「かもめ」を読むのは2回目ですが、今回読んだのは、超現代語なのでとてもわかりやすかったです。


 また、前回はモスクワ滞在中は、人生に何の選択権もなく、ただそこで「夫の仕事をサポートする」以外の道はない状態にあったので、イマイチ、自分の人生を生きている、という実感に乏しく、こういう、人生を深く考え直すような作品も「他人事」という感がありました。


 が。


 今回は日本で、しかも一応仕事を持つ身なので、まあ、本当に色々選択肢があって(あると錯覚してる???)、考えることもいっぱいあるので、すごく、グサグサ刺さってくるセリフがたくさんありました。


 来し方行く末をじっくり考えるのには、よい伴走者だと思います。



 というわけで。


 オリガさん(←ロシア語教師)、やっぱ、私、チェーホフは戯曲だと思うんだけど。。。