「サクラの枝」フセヴォロド・オフチンニコフ (訳:三木 卓) | ムル☆まり同盟

「サクラの枝」フセヴォロド・オフチンニコフ (訳:三木 卓)


sakura



 この著者に興味を持ったのは、「ハラショーな日々 」でご主人ワーニャさんが日本に留学する前に読んだ本の著者として紹介されていたから 。(ワーニャさんが読まれた本は、とっっっっても高かったので、庶民的な私は別の本を購入しました。(;^_^A) 著者は、超メジャー新聞「プラブダ(真実)」の元日本特派員で、この本は1971年に出版されました。


 


 なんですが・・・。


 Amazon経由で古本屋さんから届いた本を見て、はっきり言って、ちょっと引いてしまいました。


 女の子 なんか、昔、オトーサンが読んでたみたいな本だ・・・。(@Д@;

 

 何しろ1971年出版された本です。全体的に黄ばんでるし装丁も昔風。中を空けてみると、活字と活字の間はくっついていて、しかもたまぁに「どう見ても、当用漢字、ちゃうやろっ!」という漢字が使われていて、しかもルビはふられていません。


 というわけで、2,3日、リビングのセンターテーブルの上にほったらかしにしてしまいました。


 ところが。


 読んでた推理小説を読み終わったので、いやいや(?!)手にとって読んでみると・・・、


 女の子 むっちゃ、おもしろいっ!!о(ж>▽<)y ☆



 すごい面白いんです。


 何が面白いかというと・・・。


 37年前の本でしょ?


 彼の描いている日本の中には、日本の普遍的な要素もあれば、今ではまったく変わってしまった要素もあるんです。つまり、ロシア人の目から見た「異文化紹介」の本なのに、現代日本人の私から見ても「異文化」なところが面白いですねぇ。



 たとえば。


 当時の結婚の3分の2は「お見合い」だったそうです。


 そして、「コンサートで外タレやグループサウンズにキャアキャア言うミニスカートをはいた若い女性も、『適齢期』になれば、なぜか、親の決めた人と結婚し、『良妻賢母』に変身する」みたいなことも書かれていました。


 今では。

 

 適齢期ってないですよねぇ?(えっ、あるんでしょうか?) それから、「結婚相手を親に決めてもらう」っていうのも、珍しいんじゃないでしょうか? 結婚して10年以上経っても、あいかわらずコンサートに行って「総立ち」に参加している人も珍しくないし。(;^_^A)


 また、私には理解できない「ギリ」の世界についても、具体的に説明されていたりして、親の世代以上の日本人の価値観を説明してもらっているような感じです。

 


 一方。


 自分では意識していなかった「自分の中の日本人」を発見できる本でもあるのです。


 たとえば。


 日本人がすぐに謝るのは、捨て身になることにより、一番大切なものを守り、自分らしさを守り抜くという「柔道(ジュードー)の精神」に基づいているんですって!


 私自身、柔道を習ったことはありませんし、そんなに深く考えたこともありませんでしたが、確かに日本のカイシャで働いた経験をお持ちの方ならどなたでも、自分の進めたい方向に話を持っていくためには、先に謝って相手の気持ちを和ませ、みたいなテクを駆使した経験があるはずです。


 日本のビジネス漫画とかTVドラマとかでも、


 「お前の頭は下げるためについてんのやぁ」


 みたいなセリフ、わりっと一般的ですよねぇ。


 だから、それが、日本人だけの発想だと思ったことはありませんでした。



 そういえば、モスクワに住んでいた頃、奥様どうしのお茶会でよく話題になった「ロシア人論」のひとつに「とにかく彼らは謝らない!」「言い訳が多い!」っていうの、ありました。でも、今、考えると、客観的に正しかったんですよね、その不満。だって、ロシア人から見て「日本人はすぐ謝る」んですもの。日本人から見れば「ロシア人は(ホントに)謝らない」わけですよねぇ・・・。


 また、もうひとつの面白いところは、各章の最後に、似たようなことを述べている(有名な「菊と刀」なども含む)他の外国人の著書の引用があることです。

 というわけで、外国人から見た日本人論としてだけではなく、現代(都会)日本人から見た40年前の日本人論としても読むことのできる本です。私は、30歳前後から英語を勉強したり英語を使って仕事をする人の世界にいたので、よい点も悪い点も、この本に書かれているような日本人気質を否定するようなコミュニティに長くいました。だから、今、働いている大変保守的な都市では、理解不能なことがいっぱいありました。


 けれども、ああ、あの人たちにとっては、こういうことが美徳だったのだ、と、今までの不可解をロシア人の著者に解説してもらった思いでもありました。都会で育った人が、地方の(古きよき)価値観を守る人たちを理解するためにもいい本なのかなっと思います。


 ここ数年読んだ中で、一番印象的な1冊かも♪ 興味のある方は、マーケット・プレイスへ♪