日本語ってムズカシイ | ムル☆まり同盟

日本語ってムズカシイ

 「うちの息子は、どの先生の言うことでもよく聞くわけじゃないの。でも、『この』先生の言うことはよく聞くのよね。で、それはこの先生が素晴らしいからだっていうふうに、話を持っていきたかったわけ。」


 「私もそう思ったんで、日本語はそういうふうに書きました。」


 今の仕事では、私の書いた文章を数ヶ国語に訳して、それをネットやメールに載せることがよくあります。往々にして思い知らされるのは、日本語の難しさ。


 先日、日系ブラジル人の女性にインタビューをしました。うかがった話の中から「お子さんとご本人が、剣道の先生から学んだもの」についての部分を記事にし、そのポルトガル語版の内容確認をご本人と一緒にした時のことです。


 日本人は、特に子どもは、目上の人を指すとき「彼」「彼女」などの指示代名詞は使いませんよね、あまり。目上の方は「先生」とか「部長」とか、肩書きで呼ぶことが多いじゃないですか。それで、記事の中でも、話題の先生の会話内での呼び方は「先生」になっていました。


 そうしたら・・・。


 ブラジル人翻訳者の方は、「先生」とは「(代表単数で)世間一般の先生」と解釈した訳し方をしていたそうです。


 さらに。

 「先生の言うことをきく」と言えば、ネイティブ日本人の99%は「先生の説教/指導/命令に従う」ことだと解釈すると思います。が、訳中では「先生のお話をうかがう」となっていたそうです。


 というわけで。


 私が元々書いていた日本語

 「叱られたのは僕が悪いからだよ。先生はいつも正しい。だから、先生の言うことを素直に聞くよ。」


 ポルトガル語版の直訳

 「悪いことをして叱られちゃったよ(まあ、悪いって言えば悪いんだろうけど)。先生っていうのはいつも正しいものだからさあ、話は聞いとかないとね。」



 全然、違うでしょ?

 でもでも。

 ひとつひとつの言葉の持つニュアンスを読み取れず、辞書的に訳していったら、そういうポルトガル語になってしまうのも、わからなくはないのです。


 いつも思うんです。


 この日本語じゃあ、こんな訳文が出てきても、しかたないよね。でも。絶対に誤訳が出ないような日本語にしちゃうと、マニュアルみたいで無味乾燥な日本語、いわゆるセンスが悪い日本語になってしまう。そういう文章は書きたくないって。


 「辞書には載ってないけど、普通、日本人は○○って言ったら☆☆の意味だとわかるんです。そして、それを☆☆と書くと、日本語としてヘンなんです。」この説明、事務所の外国人たちに4月から何度したかわかりません。概して日本暦15年以上、高学歴で「日本語ペラペラ」な人たちです。日本語には、辞書に掲載されていない決まり文句が本当にたくさんあって、ネイティブ日本人どうしの会話を理解するのは、外国人にはほとんど不可能なんだろうなって思います。


 こんなにムズカシイ日本語を使いこなす、あるいは使いこなそうと努力を続けるまわりの外国人の皆さんを尊敬してやまない今日この頃です。