ドネーション・オフィス -2-  運営の流れと私のモンモン中堅時代 | ムル☆まり同盟

ドネーション・オフィス -2-  運営の流れと私のモンモン中堅時代


foradults

「おとな物」の部屋。

男女別アイテム別に分けた衣料品および靴やバッグなどの小物、日用雑貨などが壁面の棚とハンガーラックに置かれているほか、各プロジェクト・コーディネータより、「緊急必需品」としてリクエストのあった品物が、プロジェクトごとに部屋の中央部に「山積み」されている。毎週、あっという間に棚に押し込まなくてはならないほどの品物が集まり、翌週までにはほとんど引き取られていく。


 IWCは、モスクワ在住外国人女性の交流団体。(ロシア人女性の場合は、ロシア国籍以外の男性を配偶者に持つ場合のみ入会可) そんな性質上、メンバーの入れ替わりが速く、大変風通しのよい団体だった。そのため、私が在籍したたった2年6ヶ月の間にも、チャリティグループの活動内容には目覚しい変化が見られた。


 ドネーション・オフィスに限っても、様々な変化が見られた。


 まず、寄付量の大幅な増加だ。


 前回も触れたように、寄付を定期的に受け付けている場所があるということが徐々に広まっていくのと並行して、外国人村での定期受付も1箇所から3箇所に増える。それぞれの回収場所での受付量も月を追うごとに増えていった。


 これには、会員の皆さんに「回収してくれる場所がある」ということだけではなく、「何を回収してくれるのか」ということも広く知ってもらう必要があった。そのために、ウィッシュ・リスト(欲しいものリスト)の発行も大きな役割を果たしていたように思う。


 このリストは、各プロジェクトのコーディネータから特別に要請のあったものを使用団体や使用目的を添えて並べたもので、IWCの会報他数箇所に掲載される。たとえば、「○○子どもの家がサマーキャンプに行くので、そのために次の物を必要としています。・バレーボール、サッカーボールなどのスポーツ用品 ・リュックサック ・ゲーム、等々」「☆◎婦人センターでシングルマザーのためのコンピュータ教室を企画中、コンピュータ、周辺機器、およびコンピュータ関連のテキストブック大募集」のように。


 こうすれば、具体的にどのような物が何のために必要とされているのか、会員の方にもわかりやすくなる。チャリティに寄付、というと、どうしても、衣料品を真っ先に思い浮かべるものだが、このようなリストがあれば、思いもつかないような不用品が必要とされていることがわかり、寄付につながる。


 それから、ボランティア内容の細分化。


 これは主に、「時間は取れないが何かしたい」という形でコーディネータの方に相談を持ちかけたボランティアの方たちが始めたもののようだ。その内容は、繕い物、ラッピング、物品の運搬等々、本当に細かいものだった。ひとつひとつは小さな奉仕でも、そのボランティアがいるのといないのとでは大違いだ。仕分けの作業の大幅な効率アップや寄付可能な品物の増加につながる。


 たとえば、「繕い物専門」の方がいらっしゃるだけで、「全体はまだ新しいが、膝に小さな穴が開いている、けれども、アップリケするのは面倒」な子ども物ジーンズがあったとして、これはゴミ箱行きから寄付可能な品物に生まれ変わるのだ。(注:現在、このようなボランティアがいるかどうかは知りません。)


 IWCチャリティのこのような柔軟性のあるところは、ボランティアたちが気持ちよく活動できる大きな要因だったし、また、自分にできることを小さくてもいい、何とか見つけ出して取り組もうという、そういう作業を思いついたボランティアの方たちの姿勢も素晴らしいな、と思った。


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 ところで、私、個人はというと…。


 前回お話ししたように、「居心地のよいたまり場」としてスタートしたドネーション・オフィスでのボランティア、やがて、壁にぶち当たることになる。


 メンバーがどんどん代わり始めたのだ。


 最初の冬を越えた頃から、同時期でボランティアを始めた人たちも徐々に他の用事で忙しくなり始める。自分の国やご主人の職場の婦人クラブでお世話役になる人、ご主人のビジネスのお手伝いが忙しくなる人、お子さんのPTAで忙しくなる人、など、理由は様々。元々、複雑な作業をしていたわけではない。寄付された品物の仕分けをしていただけだから、当然、用事がかち合えば、ドネーション・オフィスの優先順位が低くなる。


 かく言う私も、春先から6月くらいまでは、夫の職場の次年度家族受け入れのため、かなり忙しい毎日を送る。年明けとともに、事前の書類作成やアテンド方法のルール作成のようなものが始まり、新任家族着任後は買い物や病院への付き添いなど、仕事がいっぱいある。(←あ、別に愚痴とかじゃなくって…。^^;)家族が倍に増えたような忙しさ、と言いたいところだが、それまでの私は夫とムルカのケアだけすればよかったので、一気に家族が3倍にも4倍にも増えた忙しさだった。


 月曜日、活動時間ぴったりに身体が開いてはいても、その時間しか空いていないということも少なくなかった。「何もモスクワまで来て、睡眠不足でワーカホリックすることもないんじゃないの?」と思いながらも、これは予約タクシーを利用する悲しさ、金曜日、ロシア語会話の帰りに同じ車を予約することにしていたので、月曜の朝が来ると惰性で出かける。


 夫の職場のお手伝い以外にも、4月には念願のチェロを習い始め、その数ヶ月後には、日本人でアンサンブルを組む。他のおつきあいや習い事もどんどん増えていく。


 そんな中、一緒に始めた人でも、そのまま深くチャリティにのめり込んだ人も何人かいた。そういう人たちは積極的に役員に立候補したり、今までなかった活動を提案したりして、活躍も目覚しい。こんなのでいいのかなぁっとか、続ける意味があるのかなぁっとか、思わないこともなかった。


 さらに、才媛の集結もすごかった。ボランティアとは、一般的に、自分の仕事的キャパシティが自分の持っている仕事量を上回っている人がするものである。(と、私は思う。)それまで、まわりにいたメンバーは、お子さんがいらっしゃらなかったり、お子さんがすでに中学生以上だったり、と、誰から見ても、比較的時間のありそうな人が多かった。ところが、その頃から、たくさんの公務や仕事を抱えた人も多数集まる。(余談だが、ああ、どうして、会社員時代にこのような優秀な上司に出会えなかったのだろう、と思える頭が切れ、仕事のできるすばらしい女性に多数出会えたのはとてもいい経験だったと思う。)


 ドネーション・オフィスの仕分けボランティアだけを見ると、私も中堅になってくる。欧米のご婦人方のようにしょっちゅう旅行や里帰りができる身分でもないので、出席率も非常に高い。それなのに、ただ仕分けしかしていないのも居づらくなってくる。マスコットっていう年でもないし…。--;


 かと言って。


 こうも考えた。


 ボランティアとは、自分のできる範囲でできるだけのことをするもの。


 人並みはずれた能力を持ち合わせ、待遇のよいご主人を持つ方たちは、その才能と地位、財力を大いに活かして華々しく活躍する。しかし、私の場合、初めての海外生活にカタコトのロシア語、何よりも夫は運転手のつくような身分ではないから、市内の移動にはその都度、予約タクシーを利用しなくてはならず、予約の時間に大きく拘束される。そういう条件を考え合わせると、自分にできる範囲を無理に超えようとすれば、遅刻や誤解などで、必ずまわりにメイワクをかける。そんな風に考えると、毎週のタクシー代が自分にできる精一杯の寄付、2時間の作業が自分にできる分相応の奉仕、だとも思えた。


 欧米人は学校の区切れである6月末に合わせて移動する人が圧倒的に多い。春先から寄付品の量はかなり増えてきていて、確かに仕分け専門のボランティアというのも必要とされていた。別にこのまま続けててもいいんじゃないのぉっとも思う。


 ボランティアを初めた翌年の春から1年くらい、そんなことを堂々巡りのように考えながらも、「自分でもできること」が何かないか、悶々と考える日々が続く。


 そして、さらにその次の春、ある出会いがあり、それをきっかけに私の活動範囲は飛躍的に広がる。




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