聖エカテリーナ教会・スープキッチン | ムル☆まり同盟

聖エカテリーナ教会・スープキッチン

 「ボランティアの大きな役割のひとつは、活動先で接する子ども(人)たちに、『自分たちのことを、こんなにも気にかけてくれている人たちがいるのだ』と感じてもらい、彼らに前向きに生きる望みを持たせることだ。」IWCのチャリティ活動だけではなく、チャリティ活動の役割として一般的によく挙げられることである。私たちが一度だけ体験奉仕させていただいたこの聖エカテリーナ教会・スープキッチンは、そういった面で大変成功している例だと思う。


 このスープキッチンを管理運営するのは、何と遠い異国エチオピアからやってきた男性である。何らかのミッションでモスクワにやってきた彼は、ひょんなことからこのチャリティ活動に深く関わるようになり、以来10年以上にわたり、ここの管理運営を行っているという。週3日、聖エカテリーナ教会敷地内の厨房施設を借りて、ホームレスや長期入院者たちに配布する食事を準備する。調理ボランティアはIWCチャリティのメンバーが担当するが、教会や需給対象者たちとのやりとり、物資調達は、彼が一手に引き受ける。また、彼はスープキッチンの運営だけではなく、ここに集まる人たちの衣料品その他必需品の供給も行っていて、その物品はIWCのドネーション・オフィスで調達している。


 所定の時間となり、その日調理した具沢山のピラフのパック詰めもほぼ終わりに近づいた頃、まわりの仲間を代表してホームレスの方たちが食事を受け取りにやってくる。


 驚くことは山ほどあった。


 まず、ホームレスなのに、とても明るい表情をしている。それから、私たちの言うことを素直に聞いてくれる年上の子どもは年下の子どもの面倒をよく見る。(到着するや否や、ひとりの年少の女の子がトイレに行きたいと騒ぎ出したので、垣間見ることのできた一面だったのだが。)彼らの置かれた状況を考えると、もっと投げやりですさんだ、暗い表情をした人たちが来るのかと思っていた。が、みな、一概に落ち着いた表情をしている。特に子どもたちは、明るくてよい子たちだ。これは、10年以上も一貫してこの活動に携わっているエチオピア人男性との間の深い信頼関係の賜物ではないかと思う。


 それから、赤ん坊がいた


 以前、ベビーハウスの記事で、「性教育欠如によるできちゃった婚」が、多くの孤児やストリートチルドレン、シングル・ペアレントを生んでいることに触れた。残念ながら、ここにもひとりいた。食事を取りにきた、かわいらしいティーンエイジャーの女性は、生後ほんの数ヶ月の赤ん坊を連れていた。母親自身がまだ子どもで、赤ちゃんともどもかわいらしい。何だか痛々しい。


 ホームレスの問題は複雑だ。たとえ国が支援に立ち上がったとしても、彼らが住居を持ち、仕事に就き、自力で生活していこうとしたら、並々ならぬエネルギーが必要だろう。戸籍を持たない子や、学校に行ったことのない子どもたちの場合、さらに条件は厳しい。こんな絶望的な状況にありながらも、彼らが生きることに一縷の希望を持ち続けることができるのは、ひとえに、このエチオピア人男性の愛情によるのではないだろうか。


 私たちは、取りに来た代表者に食事を渡した後、厨房の片づけをして教会を後にした。このエチオピア人男性はその後さらに、長期入院者たちに車で食事を届けに行くのだと聞いた。


 先日、ある雑誌で、藤原紀香さんがアフガニスタン支援の親善大使をしていることを知る。以前なら、この手の記事を見ても、「ああ、名前の知れた女優さんが動くと多くの注目を集められるからいいんじゃない?」程度にしか考えていなかった。が、聖エカテリーナ教会のスープキッチンを思い出すと、彼女の役割は決して金銭的支援やアイキャッチャーだけではない。彼女自身が現地に足を運ぶということが、難民の子どもたちの大きな心の支えになっているのだろうと思う。


yekaterina

聖エカテリーナ教会。手前の白い建物が、厨房のある集会施設。

かの有名なエカテリーナ二世の命により建てられた教会だ。


nowcooking

調理中。この日は具沢山のピラフを作った。

調理はベテラン主婦のおふたりにお任せし、不器用なきてぃは洗い物を担当。


nowpacking

パック中。

「ねえねえ、これ、多くない?」など、学園祭みたいで何だか楽しい。


people

食事を取りにきたホームレス代表の皆さん。

IWCの方針で、チャリティ対象者の人物が特定できるような写真は公共の場所に出さないことになっていたので、ここでも画像を一部修正したが、人々の表情が明るいことはなんとなくわかっていただけると思う。で、左手前に見えているのは、ベビーカー。


※ 何食程度作っているのか?皆さんの興味のあるところかもしれませんが、撮影当時、まさかブログで紹介することになるなんて想像もしていなかったので、何も資料が残っていません。鍋の大きさと写真に写っているパックの数から推定すると、50個~100個の間ではないかと思います。

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