冬支度 | ムル☆まり同盟

冬支度

beforewinter


 モスクワの冬には、量の面でも種類の面も野菜がかなり乏しい。最近は、フランス系やトルコ系のスーパーマーケットが頑張っているので、冬季の野菜の値段高騰もかなりましになってきたものの、2004年の時点では、やはり同じスーパーで比べると、冬季は夏季の2倍から5倍にも跳ね上がっていた。


 5倍と言っても日本で買うよりははるかに安いので、1年目は「高いなぁ」とブツブツ言いながら買い物をしていたところ、2年目からうちに出入りするようになった家庭教師に、お勧め市場と「冬支度の妙技(?)」を伝授されたため、「何事も経験」とばかり、2年目、3年目は、彼女に教えられた通りにしてみた。


 彼女が教えてくれたのは、アルメニア市場。市内南西部にあるかなり大規模な総合市場。ここの屋外で野菜を売っている人たちの多くは南部からの出稼ぎなので、冬季はモスクワにはやって来ない、だから、彼らにとってのシーズン末となる11月には野菜の価格は底値となり、叩き売り状態だというのだ。


 この市場の場所と、買いだめした野菜の処理方法を教えてもらった週末、さっそく夫とふたりで出かけてみる。確かに安かった。春夏の通常価格よりもはるかに安かった。また、この市場は、中心部からかなり離れたところにあり、外国人はほとんど訪れない場所だったため、どこの店でも珍しがって笑顔で迎えられ、必ずと言っていいほど、おまけをもらったり、値下げ交渉にも快く応じてもらったりした。どのくらい安くなるかというと、通常価格で、1キロ20ルーブル(80円)程度だったじゃがいもは、10キロで50ルーブル(約200円)程度、約半額となった。私たちはふたり暮らしだったので、これで一冬分ある。(価格についての記憶は曖昧で、夫は10キロ20ルーブルだったと話している。どちらにしても、タダに近い叩き売りだったことには違いない。) 買った野菜のうち、じゃがいもと玉ねぎは、外気温が零下になるまではベランダに、それ以降は室内の納戸で保存した。これで3月までもつ。それ以外は、刻んだり、ゆでたり、炒めたり、と半加工をしてからフリーザーパックに入れて冷凍にする。


 私たちが買い溜めした野菜は、じゃがいもと玉ねぎ以外にも、ブロッコリー、カリフラワー、パプリカ、ほうれん草、マッシュルーム、にんじん等があった。価格にしては、1/2から1/5程度のオトク度だが、この冬支度をすることによるメリットは経済面だけではない。半加工してパックした野菜は、炒め物やスープにはそのまま使えるから日々の調理時間はかなり短縮されたし、真冬、収穫がないだけではなく大雪で流通が麻痺したようなときでも、最低限の野菜は確保しているから、貴重な週末を、野菜探しツアーに潰されることもない。


 ロシア人には今でも、こうして買い溜めした野菜を冷凍だけではなく、酢漬けやドライフードなどの形で作り置きする人も少なくない。食べるものが乏しくなる冬を、何とか生き延びてきたロシア人の伝統的生活力だ。今、思い出してみると、なかなか季節感があり懐かしい思い出だ。


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