「オリガ・モリソヴナの反語法」 | ムル☆まり同盟

「オリガ・モリソヴナの反語法」

米原 万里
オリガ・モリソヴナの反語法

読んでよかった~っと心から思える1冊だった。


チェコのプラハ・ソビエト学校で1960年代を過ごした主人公が、30数年の時を経て、当時の名物舞踊教師オリガ・モリソヴナの半生を辿るというストーリーの長編小説。


はじめは、以前ご紹介した「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」 の続編かと思ったが、それ以上に味わい深い作品だった。


「嘘つき・・・」には、30数年の時を経て、当時各国から集まっていた同級生3人の消息を辿り再会する、というノンフィクションが3編収録されていたが、今回は再会した同級生とともに、当時の名物教師オリガ・モリソヴナの半生に関する謎を解明していくというストーリーだ。主人公が元ダンサーという設定になっており、物語自体は事実に基づいたフィクションらしい。


革命や粛清、そしてソ連崩壊。ロシア国民は本当に様々な試練を乗り越えてきた。いつの時代にも、いくつもの判断を迫られ、自分で考えて生き延びる手立てを探し続けなくてはならない。そのたくましさには感動を覚える。


そして。


舞台は1930年代から50年代にかけての不安定な時代。ラーゲリ(強制収容所)を含む粛清当時の様子が生々しく語られているのに、この物語は少しも重たくないのだ。米原万理さん特有のテンポのよいユーモアあふれる語り口、そしてロシア人に対する愛情に満ちた目線で書かれた文章にはすっかり引き込まれ、今回も一気に読んでしまった。