トーポリの季節 | ムル☆まり同盟

トーポリの季節

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長い長い冬の後に来る待望の春。


けれども、モスクワの春は決して「美しく」はない。


まず、雪解け。冬の間、モスクワに降り積もった雪はずっと凍っているので、雪解けの季節、外気温が零度前後まで上昇したときの道の汚さと言ったら、とんでもない。しかも、ペット大好きなロシア人たちには、散歩のときに犬たちがしたウ○チを拾うという習慣がないため、雪解けの季節は、そこいら中で数ヶ月間凍っていたウ○チも解凍されてしまうのだ。


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この時季、洗っても洗っても、10分も運転すればドロドロになってしまうので、自家用車を汚れっぱなしにする人が多く、それがさらに街全体をみすぼらしくする。ある年などは、「パパ、車を洗おうよ」というキャッチフレーズで、かわいらしい男の子が泥んこになった車のおもちゃを洗っているポスターが、政府により、バスの車両や街角に大々的に貼られたこともあったくらいだ。


そんな2月、3月を経て迎える遅い春。


それは美しいか。



確かに、行政が手配する中央分離帯や公共の公園の花壇はすばらしい。幹線道路には、すでに開花したパンジーやチューリップなどが突貫工事() で植えつけられるので、文字通り、一夜にして、春はやってくる。


けれども、別の問題がある。



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トーポリだ。


トーポリは、ポプラ科の背の高い樹木。第二次世界大戦後、街の緑化政策の折、モスクワの気候に適した最も成長の速い樹木、ということで白羽の矢が立てられたのが、このトーポリだ。行政により政策として植樹されたので、街のいたるところにこのトーポリがある。


このトーポリが、初夏、5月末頃からだろうか、巨大たんぽぽのような綿帽子に包まれた種を放出し始めるのだ。そのサイズは、空中分解しなければ、おとなのゲンコツ程度もある。これが、毎日毎日飛ぶ。せっかく雪が無くなった路上は、今度はこのトーポリの綿帽子で真っ白になるし、この時季、窓を開けて過ごす時間が長くなるので、部屋の中にもかなり入ってくる。また、これにアレルギー反応して花粉症に苦しむ人もいるようだ。


誰でも、長い冬の後の春の訪れは嬉しく感じるものだ。だが、汚い街並み、それからトーポリの綿帽子、と、モスクワでは春の訪れも手放しでは喜べない。


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