「シベリアに眠る日本人」 | ムル☆まり同盟

「シベリアに眠る日本人」

高杉 一郎
シベリアに眠る日本人

 猫ブログで取り上げるには、少し重い話題かとも思ったが、このブログは(ロシア関連本に限り)私の読書録も兼ねているので、さらっと取り上げることにした。


 この本を読んでみようと思ったのは、日本に帰って以来、ロシアのこと、日露関係のことを広く浅く知りたいと考えるようになったからだ。というのも、趣味でロシア語を勉強している人というのは、概してロシアに強い関心を寄せていて、その一環としてロシア語も習っているというケースがほとんどで、クラスメートたちもロシアに関してはとても造詣が深く、また学習年数も長いからだ。


 「トルストイが好き」「バレエが好き」、理由は様々だが、誰もが筋金入りの「ロシア好き」だ。たとえば、先日、教材テキストの中に「戦争と平和」のひとりの登場人物について論じた箇所があったが、その場にいた全員が、名前を聞いただけで、彼女が誰なのか、どのようなキャラクターの持ち主なのか、即座に理解している様子だった。(「戦争と平和」(全4巻)は帰国直後、まだ何も始めていなかった頃に私も読んでいたので、かろうじてその場の話題をシェアすることができた。)


 すべてがそんな感じなので、せっかく縁あって3年間も住んでいたわりには、ロシアのことをあまり知らないというのが、もったいないような気がしてきたのだ。学者でも学生でもないので、論文が書けるほど何かに詳しくなろうとは思わないが、せっかく3年間も住んでいたのだから、概要くらいは知っておいてもよいかなっと考えるようになった。


 ということで、この本の内容。


 シベリアに抑留されていた筆者が、ある記事をきっかけに、抑留時代、好感を抱いていたソ連人上司の消息を知り、彼を訪ね、自らが抑留されていた土地を再度目にしたいという思いで、家族とともにシベリアに向かう。これに関する旅行記を柱に、シベリア抑留の概略やロシア・ソ連史に見るイルクーツク、筆者の抑留に対する思いなどが述べられていて、私のように何も知らない人が読んでも、シベリア抑留のことがわかりやすいようにまとめられている。


 「ロシア」ということばを耳にすれば即「シベリア抑留」を思い浮かべる日本人は、まだまだたくさんいる。そのような方たちのことは、頭の片隅に置いておいた方がよいとは思った。が、一方で、情報が少ないという理由だけで、「ロシア」に対してとてつもなく悪い印象を持っている日本人が多いのも確かだ。そういう人たちには、少しずつ、ロシアのよい面も伝えたい。