「ゲルギエフ-カリスマ指揮者の軌跡」
- 安達 紀子
- ゲルギエフ―カリスマ指揮者の軌跡
20代半ばで細々と続けていたアマチュア・オーケストラを辞めて以来、私にとって音楽と言えば、もっぱらイージーリスニングやポップス、モスクワへ行く直前だとゴスペル音楽というところだった。現在活躍中の世界的に有名な音楽家や日本を代表するような音楽家たちの年齢や活躍ぶりも、自分が聴いていた頃の記憶のままでストップしている。そんな私のこと、ロシアでは「カリスマ指揮者」のゲルギエフの名前も、モスクワに行って初めて耳にした。
私が彼の名前を知り、興味を持つようになったのは、モスクワ音楽院の各ホールで行われるコンサートに足を運ぶようになって約半年、モスクワで生活を始めて約1年経った頃だ。音楽に詳しい方たちに「もう、ゲルギエフは聴いたことがあるの?」としばしば尋ねられるようになり、モスクワに住んでいる間に1度は聴いておきたいと思うようになった。結局、モスクワ在住中に彼の演奏を3回聴くことができた。
ゲルギエフは、サンクトペテルブルグ音楽院の出身、ちょうどペレストロイカの時期にサンクトペテルブルグのマリインスキイ劇場の芸術監督となり、以来、ロシア音楽界の牽引力となってきた人だ。世界中を飛び回る今でも、サンクトペテルブルグの「白夜祭」やモスクワの「イースター祭」など様々な催しを主宰し、また才能ある演奏家を発掘し続けている。
このようなフェスティバル中にはゲルギエフが振るコンサートは何夜もあるので、私のような「にわか音楽愛好家」でも、その中から自分の好きな(自分でも理解できる)プログラムを選んで楽しむことができるのが魅力だった。
この本では、彼の生い立ちから音楽的経歴、音楽やロシアに対する考え方を紹介している。ゲルギエフのことを知れば、彼自身のことだけではなく、ペレストロイカ以降、どのようにロシア音楽界が時代の変化に対応してきたのかがよくわかる。
私は現在のロシア音楽界について、何も知らずにモスクワに行ったので、情報はすべてクチコミに頼っていた。クチコミと飛び込みで色々試しているうちに、好みの演奏家が見つかった頃には帰国しなくてはならなかった。行く前に1冊でもこのような本を読んでいたら、随分、近道だったのにと思う。この本は今年(2005年)10月に初版が出版されたばかりだ。音楽に興味があって、今後モスクワに転居予定のある人は必読だ。
2004年イースター祭のプログラムとパンフレットの一部。一番右のパンフの上に貼り付いているのは、「コントラマルカ 」というプレイガイドで発券したチケット。意外と洗練されたデザインでしょ?
★ チケット部分は写真が切れているので、クリックして大きくして見てください。