「シュニトケとの対話」 | ムル☆まり同盟

「シュニトケとの対話」

アレクサンドル イヴァシキン, 秋元 里予
シュニトケとの対話

 「シュニトケが好きだ」と言うと、たいていの場合、会話がとまる。そのくらい彼の音楽は素人が理解するには難しい。そういう私もこの本を読んで、自分が好きなのは「コンチェルト・グロッソ第1番」と「チェロ協奏曲」であって、彼の音楽を理解しているわけではないということがわかった。

 彼はモスクワ音楽院で勉強し、そのコンサートホールの音楽監督を長年にわたり勤めた20世紀の偉大な作曲家だ。昨年は生誕70周年記念フェスティバルが開催されていて、たくさんのロシア内外の人気演奏家が彼の様々な作品を競演したので、かなりの数の作品を生で鑑賞することができた。運の良いことに、ちゃんと音楽的バックグラウンドがあって、それなりに彼のよさのわかっている友人が同行してくれたため、何も知らないわりにはちゃっかりと「解説付き」で鑑賞することができた。

 この本はタイトルそのままで、アレクサンドル・イヴァシキンというチェロの名奏者とシュニトケの対話集である。2人の会話を通して、シュニトケの生い立ちや音楽の作り方についての考え方、様々な作曲家について持っている意見などを知ることができる。2人の偉大な音楽家の会話なので、単にシュニトケとこの中で取り上げられている作曲家についてよくわかるだけではなく、音楽に深く関わる人たちがどのようなことに目を向けているのか、だとか、何を勉強するとさらに楽しんで音楽を聴くことができるか、ということもわかり、今後の参考になった。

 また、シュニトケの生い立ちにも興味を持った。彼は、ロシア生まれだが、ユダヤ人とドイツ人の血を引き、戦争を挟んでドイツとユダヤ、ロシアの間でかなりフクザツな経験をした。そんなに国際的じゃないけど、日本のどこの地方にも属していない自分との間に大きな共通点を見つけ、どうして彼の作る音楽が深く心に入り込むのか、なんとなくわかったような気がする。