「西本智実☆31歳の新星~日本とロシアと」 | ムル☆まり同盟

「西本智実☆31歳の新星~日本とロシアと」

伊東 雨音, 塩澤 秀樹
西本智実・31歳の新星―日本とロシアと

東洋人として初めて、ロシアのオーケストラの主席指揮者となった西本智実の名前を知ったのは、モスクワに行く直前、お世話になった方のところにご挨拶に伺ったときのことだった。彼女は西本智実の講演会会員で、会報のコピーをくださって、モスクワで是非、西村氏の演奏を聴いて欲しいと言った。

 大阪出身の西村智実は、25歳のとき、単身サンクトペテルブルグ音楽院への留学を決意する。この本では彼女の生い立ちからモスクワでのデビューコンサートまでを舞台となる街ごとに紹介している。写真集仕立てなので、あまり詳しいことはわからないが、それでも、彼女の音楽やロシアに対する考え方や略歴のあらましを知ることはできる。

 コメントの中には「ロシアには人間性と伝統が手つかずのまま残されている」など、モスクワで出会った多くの「ロシア音楽やロシアバレエのとりこになってしまった人たち」の意見を集約したような、共感できるものが多い。

 また、彼女の師は故イリヤ・ムーシンで、ワシリー・ゲルギエフは兄弟子にあたるということや、ゲルギエフから演奏についての助言を求めることもあるなど、彼女のロシアでの音楽的バックグラウンドについてもこの本で知ることができた。

 さらに、モスクワの音楽ファンにはたまらない「おまけ」が、第2章「モスクワ・春」の写真の数々だ。モスクワ音楽院大ホール建物内の写真が満載されている。いくらコンサートに足しげく通っても、ホールの内部の写真を撮る人はあまりいないと思う。私もそうだった。そんな人たちにとっては、手元に置いておきたいなつかしい風景満載だ。

 モスクワ滞在中、結局彼女の演奏を聴くチャンスは一度しかなかった。日本のしかも関西という自分と同じ地域に住む女性が、ロシア音楽とロシアに惹かれ、そこで認められ、音楽活動に深く携わっていく姿はとても興味深い。彼女のバックグラウンドや考え方を知った上で、いつかもう一度、あのホールで彼女の音楽を味わってみたい。 


西本智実オフィシャルサイト↓

http://www.tomomi-nishimoto.com/