「巨匠とマルガリータ」
ミハイル・ブルガーコフ, 法木 綾子
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この本を読んでみようと思ったのは、モスクワの劇場でとても人気の高い作品だったからだ。あちらこちらで年中「巨匠とマルガリータ」の看板を見かけた。そのうち、ロシア語クラスの友人たちが次々に読み始めた。教師も、「この本には何通りも読み方があって、何回読んでもそのたびに何か新しい発見があるのよ。そして、私たちロシア人自身も、回を重ねるごとに、新しい自分たちを発見するの。」とべた褒め。そこまで言われると、読まなくては落ち着かないので、日本から取り寄せた。
確かに傑作だと思った。未熟な私などがこの本についてコメントしたりすると、ロシア通の方に「ふっ」と鼻で笑われそうな感じがするので、ここではざっとした感想に止めたい。
まず、何も知らない人が読んでも単純な「SF」として面白い(上巻を読んだときの私)。それから、時代背景やブルガーコフの強いメッセージを知って読むと、まったく別の楽しみ方ができる(上巻の解説を読んだ後下巻を読んだときの私)。イエス・キリストとポンテオ・ピラトのエピソードが劇中劇になっていて、キリスト教に詳しいとさらに味わい深い(ノン・クリスチャンではあるが、新約聖書は子どもの頃から何回も通読している私としてはなかなか奥の深い話でもあった)。恋愛小説としても読める。
このように、何重構造にもなっているので、誰が読んでもどこかで引っかかって「面白いっ!」と感じることができる仕組みになっているのだ。天才じゃないかしら・・・。彼は、この著作により祖国を追われ、初版は彼の死後となり、妻が外国で出版した。
難を言えば・・・。
上下2冊、総ページ数500ページ以上の大作だ。2-3時間の演劇にしてしまうと、刺激的ではあるのだが、どうしてもドタバタ劇化してしまうのは仕方がないことなのだろうか?まず劇ではなく原作を楽しんで欲しい作品だ。
私の見たユーゴザパト劇場の「巨匠とマルガリータ」より
