八月十三日(土) 夜七時、テレ朝の「博士ちゃんー美文字」という番組を老妻と二人で見ていたら、老妻が「あなたの若い時はどんな字でしたかね?」と話しかけてきました。

 

 そこで、ふと思い出したのが、最近見た、『芥川龍之介全集』の最後のページに書かれた、購入日の記録でした。以下、少しだけ書き留めておきます。

 

   〇 昭和二十九年十一月六日 第一刷発行 第一巻   一九五四年・十一月・十三日

 〇 昭和二十九年十二月六日 第一刷発行 第三巻   一九五四・一二・七 仙台 金港堂

 〇 昭和二十九年十二月二十一日 第一刷発行 第四巻   一九五四・一二・二七 福山

 〇 昭和三十年二月二十一日 第一刷発行 第八巻   一九五五・二・二七 

  後に書いたのが、私の記録ですが、私は広島県福山生まれ、大学が仙台だったので私の字だということは間違いないということになりました。

 

 そして、特に第八巻の巻末に次のような言葉が小さく、万年筆で書かれていました。書き留めておきます。

 

 頭の痛い日だった

  竜之介に魅せられた

  どうにもならないような

  やりきれない気持になった

 

 第八巻には「歯車」が収められています。あるいは、それの感想か、若気の至り、恥ずかしい限りです。

 

 老妻は、「丁寧に書いた字ですね」という感想でした。