平成最後の、らむねのおすすめは、まだあと7時間皇后様でいらっしゃる、美智子皇后陛下の書かれた本「橋をかける」。こちらは、デリーでのIBBYのビデオでの講演をまとめたもので、出版当時の1998年、平成9年は、ベストセラーになったものです。
 
 
 
子供時代の読書の思い出と副題されており、読書がどれだけ子供時代を豊かにしたかということが書かれているのと同時に、最後の一節が、当時の私に非常にささったのを覚えています。
 
引用するのはあまり好きではないのですが、美智子皇后陛下のお人柄がよくにじみ出たものと思われますので、引用します。
 
子供達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き、やがて一人一人、私ども全てのふるさとであるこの地球で、平和の道具となっていくために。
私はこの「平和の道具」という言葉が非常に好きなのです。
 
人は自分のために生きている。それが人権思想と思います。
 
この「平和の道具」という言葉は、注によるとアッシジのフランチェスコの「平和のための祈り」の冒頭の一部だそうです。人間がなにかの道具であるという気持ちは、「橋をかける」というタイトルにも現れていると思います。
 
世代という時間的な橋、国境という空間的な橋、その隔たりをつなぐ道具である、橋である、人はみな、橋である。次の時代が、今の時代よりも、いいものであるように。そのために人は本を読み、学び、働き、橋となる。
 
日本の歴史を学ぶとき、心の底から尊敬できる天皇を戴くことは、それほど当たり前のことではないと思います。しかし、昭和、平成と、ベクトルは違っても、私が今まで生きてきた時代は、天皇を心から尊敬できる幸福な時代だったと思います。これからの時代もそうでありますように、希う(こいねがう)とともに、それを依存的に願うというよりは、良き時代にするために、どのように橋として存在できるか、思いを馳せるためにも、この本をたくさんの方に読んでいただきたいなと思います。
 
今は、すえもりブックスからは絶版しているようで、文春文庫から出版されています。
 

 

平和というものがどれほどかけがえがないか、子供が本に没頭できる環境を大人がどれほど心を砕いて実現すべきか。令和の新天皇陛下とほぼ同世代の私ですが、そういうことを実現する主権者として、「平和の道具」とどうあるべきか。新しい時代を考えていきたいと背筋がのびる思いです。

 

素敵な時代にしましょうね\(^o^)/