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星家なこ
MF文庫J
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞 佳作受賞作です。

この作品を一言でいうなら、高校生の青春恋愛ストーリーです。
中盤から少しずつ変わってきますが、それでも青春と恋愛が中心の物語です。
最初はキャラクターの魅力と、読みやすい文体ですごい好印象でした。
読み進めていくうちに、キャラクター達は、それぞれに、性格ではない面の特徴が見えてきます。
どのキャラクターも、自分に素直なのが印象的です。
その代表的なのが、真央塚杏です。
個人的にはヒロインの、蓬莱さんを食っちゃってます。
真央塚は可愛くって、明るくて、元気で、子供っぽくて、素直なところが魅力的です。
蓬莱さんはこういうストーリーには、ベタな悩みをするんですが、あまりベタに思わせないところが良かったです。
君島麗華に関しては、chapter2に入り、「えぇ~」と思いました。
でも読み進めていくと、彼女の感情がリアルに感じられました。
あとがきに作者の星家さんが書かれてましたが、好きな男の前で良い子ぶりっ子をする。女なら当たり前だろ。
表から見るのと、裏から見るのでは、見え方が変わってくる。
その象徴というべきキャラクターで、作品自体が二人の視点から構成されているため、作品とキャラクターがリンクしています。
読みやすくて、計算されている素晴らしい作品です。
chapter1とchapter2で、語り部が変わることにより、伏線だと思わせていないところで、伏線を回収しています。
こういう作品は、裏ではこうなっていたのかと思えて、読んでいて楽しいです。
しかも視点移動を、chapter1とchapter2に分けることで、読者が混乱しやすい原因を回避しています。
読んでいて清々しい気持ちになった良い作品でした。