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その日も、みきこさん(仮名)は
まだ寝ていた娘の部屋の前まで来て
大きな声で怒鳴りました。
「あんた、私の通帳返しなさいよ!」
娘が時計を見ると朝の5時半でした。
「みきこさんの通帳なんて触ってないでしょ」
寝耳に水の娘はみきこさんに答えました。
実は、みき子さんの夫である
みつおさん(仮名)が健在だったころから
「通帳が無い」
「現金が無い」
と言い始めていたのを娘は聞いていたので
みきこさんとの同居を始めてからも
みきこさんの部屋には入らないようにしてたのです。
ましてや、なぜだか
みきこさんが現金や通帳の置き場所を
あちらこちらと変えるのを知っていたので
本当に娘は、みきこさんの通帳に
触れてもいなかったのです。
「通帳が見つからないの?」
部屋から出てきた娘が訊きました。
すると、ご近所にも聞こえそうな大声で
「まぁー、ぬけぬけと!
あんたがあたしのタンスの引き出しを開けて
探している姿を、この目で見たんだから!
あたしの通帳、出しなさいよ!」と、
わなわなと震えながら、みきこさんは怒鳴りました。
「私は、通帳に触っていないし
持ってないモノは出せないよ」
娘ははっきりと言いました。
「あぁ、あぁ、
こんな嘘まで付くようになって情けない」
あくまでも娘が持ち出したと主張する、みきこさん。
「何を言われても
本当に知らないものは知らないし
触ってないモノなんか持ってない。
真実は1つなんだから
通帳が出てくればわかるでしょ」
娘は、まだ早いと思いながら身支度をして
いつものように朝食の用意を始めました。
腹の虫がおさまらないのは、みきこさん。
きっと夜中に
何かが気になって残高を見ようと
通帳を探したのでしょう。
ところが、
思っていた場所に通帳が見当たらず
思いつく限りの場所を
朝の5時半まで探していたのでしょう。
それでも見つけられなかったため
無理やり誰かのせいしなければならないほど
不安でいっぱいだったに違いありません。
みきこさんの脳は
取り敢えずの安心を求めて
一番身近にいる娘を犯人に仕立て上げたようです。
しかし、
誰かのせいにした所で真実は変わりません。
なにより、
一時的に忘れているとはいえ
通帳を仕舞ったか、置き忘れたのは
みきこさんですから
みき子さんの潜在意識には
通帳を自分でどのように持って
どこに、どうやって仕舞ったのか?
(または、置いたのか?)
通帳を持つ手の所作から
何を思って通帳を探す羽目になったのか?など
必ずその時の記憶があるものなんです。
逆に言えば
ここで思い出さなければ
もっと記憶があいまいになり
本当に通帳の在処がわからなくなってしまう
という危機を回避するために
みきこさんの脳が
主である、みきこさんにS・O・Sを発信し
今のうちに通帳を探すよう
命令していたのかもしれません。
それにしても
やってもいない事を
実(まこと)しやかに
タンスを物色するマネをして見せるなんて
幻覚でも見えているのかもしれない・・・
娘は娘で別の心配をしているのでした。
娘が普段の通り仕事に出かける間際まで
みきこさんは相変わらず
不機嫌を撒き散らしていました。
夕方、娘が帰宅すると
みきこさんは
普段出てこない玄関口に出てきて言いました。
「今朝は申し訳ありませんでした。
通帳は自分で置き忘れていました。
あなたにはひどひどい事を言ってしまい
もうしわけありませんでした」
「真実は1つ。
通帳、出て来て良かったね 」
帰宅した娘は言いました。
いつもは出迎えなんてしない、みきこさんが
わざわざ玄関まで出てくるなんて
よっぽど娘に責められると思っていたのでしょう。
みきこさんが一息落ち着いたのを見て
娘はもう一言、みき子さんに訊きました。
「私が引出しを開けて探し物をするところ
本当に見えたの?」
みき子さんは答えませんでした。
この答えは、後々になり
総合病院の認知症外来を受診する時に
「見ていない」と答えたのですが
もしかしたら、それすらも
認知症の診断を下されないために
そう答えたのかもしれません。
前回のシャンプーの件といい
今回の通帳の件といい
みきこさんが
家族とのかかわりの中で
自分の思い込みを正当化し
それに従わない
誰かのせいにして来たために
白いものを「黒」と
言わせてきた事がわかります。
この特徴からすると
みきこさんにはサイコパスと呼ばれる
人格の特徴が見られます。
サイコパスの特徴
①平気でうそをつく
②他人を利用する
③共感力が無い
④罪悪感が無い
⑤目的のためなら手段を選ばない
これらの特徴は
サイコパスの周りの人から見た
一方的な特徴なのですが
この特徴は遺伝の他
子どもの頃の環境が
強く関わっていることもわかっています。
みきこさんは小学1年生の時に終戦を迎えています。
戦中と戦後で周りの大人たちの
言っていることが変わってしまったことや
生きていくためになりふり構わず
やっていた事を見て育てば
自分を守るために何が正しくて、
何をすればいいかの基準は
令和の今とは全く違っている事でしょう。
つまり
みきこさんがこれまでの人生を
生きるために必要だったから
これらの特徴を
身に付けたのかもしれません。
この特徴が
これからのエピソードにも大いに関連していきます。
本日も最後までお付き合いいただきまして
ありがとうございました。