思いっきり根暗な気分になりたいと観に行った映画『海炭市叙景』

 

根暗な気分などころじゃありません。

 

想像以上にキテしまいました・・・・。

 

 


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この映画のことを知ったのは、この間北海道へ旅行し

 

函館から空港へ向かうバスの中で、ずっと予告編を流していました。

それもよりによって白黒映像だったので(本編はカラーです)

てっきり昔の日本映画かと思ったくらいです。

予告編を観ただけでもその時の自分の状況と

ちょっと似ていたのでいたたまれなかったのですが

東京で上映されたら観てみようと気になっていました。

 

暗めな内容だからお客は少ないだろうと映画館に入ったら

 

8割方席が埋まっていてちょっと驚きました。

 

 

ストーリーは海炭市という架空の地で(函館が舞台なのは明らかですが)

 

 

様々な「見捨てられた」人々をリアルに描いた作品です。

ほんのちょっとの違いで誰にでも起こりえる、いつかは訪れるである内容に

場内ですすり泣く声が聞こえてきます。

近くに座っていた男性は泣いてはいませんでしたが

観ているのが辛いような表情で顎に手をおき身体をひねって観賞していました。

 

「見捨てられた」人々の吹きだまりのような地、海炭市。

 

上映時間は長いのに、どんどん引き込まれていき

長さを全く感じませんでした。

どれもが「救い」のないままの内容に感じられましたが

唯一の救いは、母親に虐待されていた子供の話しくらいでしょうか。

映画の終わり近くで、兄妹の後ろ姿のシーンで

兄の映像だけが半透明に観えて、目の錯覚かなと思ったら

その後の展開に「えぇ!」と思わず声に出しそうになりました。

映画とはいえ、あの展開はないよ・・・・(涙)

映画にのめり込み過ぎて我慢していた涙が流れました。

 

観終わって、渋谷の繁華街を通らなれければならないのですが

 

いつもはうっとうしい渋谷の喧騒が、この時ばかりは有り難く感じられました。

 

 

あ、「救い」はまだありました。

 

 

作者の佐藤泰志は不遇のまま41歳の若さで自ら生涯を終えましたが

再評価の運動で本が発行されて、こうして映画化されて

「見捨てられた」ままの存在に終わらなかったのが一番の「救い」でしょう。



 

 


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全然関係ないけど、映画を観る前に飲んだタリーズのホットアメリカーノ。

美味しかったですマグカップ*++