「KCIA 南山の部長たち」 | 紫亭京太郎のアメーバ・ブログ

紫亭京太郎のアメーバ・ブログ

映画と落語と野球とブログと。
面白き ことばかりの世と 面白く 住みなすものは 心なりけり。

朴正熙暗殺事件の“真実”を描いたが如きフィクションは、圧倒的な説得力で見応え十分!!
1979年10月26日。韓国大統領直属の諜報機関である中央情報部(KCIA)部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領を射殺した。
中央情報部長とは、国家機密に関わる重大な情報にも触れ、大統領に次ぐ強大な権力と持つとも言われる。そんな男がなぜ大統領を暗殺するに至るのか。

KCIA元部長のパク・ヨンガク(クァク・ドウォン)が、亡命先であるアメリカでの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発した。更には回顧録も執筆中だという。
これに激怒したパク大統領(イ・ソンミン)から、事態の収拾を命じられたキム部長は、単身アメリカに渡り、かつての友人でもあるパク・ヨンガクに接触した。
そしてこの40日後、キム・ギュピョンは大統領を暗殺することになる…

「あの頃は良かった」と日本語で台詞が出たことに驚いたびっくり
日本統治下の名残を、ある種“暗号”的に使っていたのか。はたまた日本統治下において王侯貴族から人民が解放されたことに自分たちをなぞらえているのか。
国を正しく導かねばという熱く崇高な志のもと軍事クーデターを牽引した彼らの思いが、日本語で表現されることは少し誇らしい。もっとも逆説的に侮蔑の思いが込められているのなら悲しいがタラー

それにしても、革命運動において同志が道を違えていく悲哀は、「革命」による政権交代には付きものであって、権力が集中すると人は欲望に呑み込まれていくことから、決して逃れられないものなのだろうか。
政治と歴史の闇に向き合い、しっかりと光を当ててエンタメ化する韓国映画のあり方に敬意。

韓国年間興行収入第一位も納得。それは決してイ・ビョンホンの人気だけに根差したものではない、実録サスペンスドラマの快作!!

2020年/韓国  監督:ウ・ミンホ
出演:イ・ビョンホン、イ・ソンミン、クァク・ドウォン、イ・ヒジュン