「人間の時間」 | 紫亭京太郎のアメーバ・ブログ

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映画と落語と野球とブログと。
面白き ことばかりの世と 面白く 住みなすものは 心なりけり。

キム・ギドク監督最新問題作チュー

クルージングの旅を楽しむためにやって来た日本人カップル、次期大統領とも目される有力政治家とその息子、その政治家親子に取り入ろうとするギャング達、乗客相手の商売を目論む娼婦たちに謎に包まれた老人。様々な人間を乗せて出港した退役軍艦は、艦内の閉ざされた空間の中で酒、博打、女にクスリと、正に本能の赴くままに人々は享楽に耽っていった。やがて“狂宴”を繰り広げる男達の欲望は暴走し、カップルの乗客を襲いはじめる。

快楽を貪り、人間の欲望がむき出しになった船は、異次元空間へと迷いこんだ。位置も方角も分からずに異空間をさ迷い続ける船の中で争いが起きるが、政治家とギャング達が艦内を支配しはじめ、同時に食糧を独占してしまう。
船は補給できないまま漂流し、船内は飢餓状態に。乗客達は、生存本能をむき出しにして生き残るためにありとあらゆる手段に出る…

クルージングの旅に出た軍艦という、非現実的な閉ざされた空間で、あらゆる欲望に耽溺する男達のリビドーが暴発し、凌辱の限りを尽くす中で、“権力”と“腕力”が艦内を支配する。やがて船が異次元空間へと迷いこみ、抜け出せる見込みもアテもないまま漂流し続ける極限状態に、乗客達は生き残るための壮絶な戦いを始める。
人間の、“人間として”の欲望から、生存を賭けた“動物として”の欲求まで、あらゆる欲望の発露を、生々しく猟奇的に描く、京太郎史上最もダークな大人のファンタジー。

揺れるアダムが情けなさ過ぎる、生命体としての強さを発揮していくイヴが中心となって展開する、キム・ギドク作“超訳聖書”!
人間だもの…ニヤリ

2018年/韓国  監督:キム・ギドク
出演:藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、イ・ソンジェ、リュ・スンボム、ソン・ギユン、オダギリ ジョー、イ・ソンジュ