昨日も薄日のさした冬日。風が無いのでそれほどの寒さはない。散歩道ではだれにも会わない、閑散で、長閑な木漏れ日の元のお散歩は考えながらの体力造りに丁度良い。

 

 地震は能登半島以外はほとんどない。最大震度4 M=4.5 という大きなものが3時と7時に起きたほかは最大震度3 M=3.9.最大震度3M=4.1など中くらいの地震が観測されていたが、回数は17回と減衰傾向は変わりない。

 

   

 

   

 

 輪島の朝市街の液状化火災での捜索が集中的に行われ被害の様相がだんだんと分かってきたとのこと。しかし、死体の損傷が激しくDNA鑑定でないと特定できない程に燃え方が激しかったらしい。さすがにメタンガスの火力は強いので鉄も溶かすので骨など簡単に焼けてしまうはず。

 

 その近くで7階建てのビルが倒壊して横の木造民家を押しつぶした被害についても、東大地震研究所の楠教授が調査して中間的な報告をやっていた。

 

 写真は上から震災前のビル「五島漆器店」で地上7階で地下室が1階ついていたとのこと。いわゆるスーパーラーメン構造で2階以上が2スパン、1階は1スパンで、全建物重量は両側の柱で支えている。しかも、敷地境界線いっぱいに立っている。

 

 

 

 横倒しとなって1階部分は1m以上沈下しているが 周囲の道には盛り上がった土が見えない。1階柱は内側へ曲げられており、地中梁(根がらみ梁)は破断している。

 

 

 柱と基礎のフーティング(画面の四角いコンクリートの板状のもの)の下には杭らしい丸い穴が4本或いは5本ついていたようだが柱とは離れている。柱の下面とフーティングとはつながっていないでただ乗っているだけ。杭とフーティングとも鉄筋でつながっていないで乗っているだけ。フーティングの根がらみ梁(地中梁)は破断して、柱とは離れている。フーティングは2m角ぐらいだろうが、くいは直径30cm位にみえる。フーティングの後ろには化粧板のように天井板が見えるが地下室の天井板かもしれない?

 

 

 

 1階の柱が内側に曲がっていますが震動を受けてロッキング(左右に大きく振られる)することでフーティングと切り離され基礎梁(地中梁/根がらみ梁)はへの字に破断している。この写真では地下室は見えない。

 

 

 地下室があったとのことだが、フーティング位置からは想像できない。杭頭(写真のキャプションの杭先端部分というのは杭の下で固い地盤に刺さっているところで当然見えません)も現場では確認できないらしい、液状化で泥土化した土で埋まってしまったのかもしれない。

 

 

 杭の種類は分からないが、電柱のような中空の既成コンクリート杭ではないらしい。真ん丸ではなく、しかも杭頭には木材のくずが載っている。その上に細い鉄筋が見えるがフーティングの横筋である。杭の出来上がりが短かかったので基礎(フーティング)をつくるときに木っ端を載せて背伸びさせたのだろ。不良施工!

 

 

 

 

 東大震研の楠教授は下のポンチ絵のように地震で杭が抜けて倒れたとの見解。このポンチ絵と写真を見くらべると、杭は柱の真下ではなくずれているのでフーティングには曲げ応力が入っており、外壁(外柱)とフーティングは構造的につながっていません。フーティングの上にじかに柱が載っているだけで柱は1階梁からの片持ち梁形式です。即ち、1階地中梁との間に曲げモーメントの受け渡しが無い門型ラーメンです。このポンチ絵には転倒防止には重要な構造部材の地中梁(根がらみ梁)が描かれていません。

 

 

 しかし、この杭は場所打ち杭の一種でキリで地面を揉んでキリの先端からモルタルを出しながら引き抜いてつくる杭のように見える。杭のように見えるというのは杭ではなく、いわゆる地盤改良としての杭モドキであり、建物とは構造的には繋がっていないで、ただ改良されて地盤強度を増した地盤の上に乗っているだけの設計ではないだろうか?地盤が火山灰質の砂で地下水位が高いので最大震度7という強震で(地震力が重力加速度を超えていると杭と離れているこのビルは飛び上がる)液状化を起こし、メタンガスが湧出して地盤支持力が失われ(杭の摩擦力が失われる)画面右側の柱が沈下して左側の柱が基礎から離れて横倒しになったのではないだろうか?

 しかも敷地いっぱいの杭工事であることで大きなくい打ちやぐらを持ち込めないので振動の少ない簡易的なキリでの地盤改良的で造られている。このことで杭の中心と柱の中心はずれており、偏荷重が起きているのでフーティングには曲げが入っている。地下室があるとのことだが、フーティングの深さ位置から考えると地下室は無いように見える。しかし、本当にあるとすると、後から掘って増築したのかもしれない。そうなると杭の周囲の摩擦力は失われていたはず。

 

 しかも液状化が起きれば、地下室は浮袋になって浮力が働き軽くなり、当然ひっくり返る。沈下しながらの横倒しでも周囲の道路に盛り上がりの土が無いのは地下室へ流れ込んでしまったと考えると説明が着く。こんなことがいろいろと重なって横倒しになったのだろう。

 

 もしもの話はないが、もしも この杭に鉄筋が入って柱と構造的につながっていたら、引き抜かれはしないだろうから、震度7でも倒されることは無かったように思われる。もしも 液状化地盤であることを知っていたら基礎構造を上部構造と切り離すことはなかったはず。

 

 地震の安全地帯であるので地震は来ないと判断したのなら地震学者にも一旦の責任はある。

 

如何でしょうか?東大震研の先生。

 

 さて、拙小冊子「地震予知はできるはずです 火山噴火も」の昨日の続きで、東日本大震災での津波火災。

 

 

 図93 市指定の避難ビルであるRC3階建ての石巻門脇小学校は津波火災で全焼。集められた避難民は先生の機転で教壇をひっくり返して並べ舟橋にして逃げ命は守られた。先生の機転が無ければ行政は津波避難ビルに集めて殺すという大惨事となったところ。津波被害は免れても、津波火災は免れない。

 南海トラフ地震など巨大地震で予想される津波高さで避難ビルを指定したり、津波避難タワーを鉄骨で造っているが、必ず起きる津波火災にこの教訓は活かされていない。

 

 

 図94 門脇小学校で渋滞に巻き込まれ車の中で津波に巻き込まれ津波火災を受けた人は酸欠での失神、焼死。当然と思われる水死ではない。津波避難ビルの校舎は火の着いた瓦礫が津波を受けて漂着して全焼し津波の浸水被害は免れても津波火災を免れることが出来ない。