中国問題の日本への影響 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録

【要旨】


 中国で広がる反日デモが日本経済に与える影響を懸念する声が高まってきた。


 主要エコノミストは日中摩擦が長引けば、輸出や観光への打撃が避けられず、景気を下押しすると指摘する。


 当局の統制のもとでデモは比較的短期間で収束するとの見方が多いとはいえ、日本の最大の貿易相手である中国のビジネスで企業収益が下振れすれば、けん引役が内需から外需へと移る景気回復シナリオが不透明さを増す。


【影響】


 主要エコノミスト5人に影響を聞いたところ、中国のデモが日本経済に影響を与える主な経路は(1)現地法人の業績悪化に伴う企業の収益低下(2)中国向け輸出の減少(3)中国の訪日旅行客の減少による国内での売り上げの停滞――の3つだ。


【企業収益の悪化】


 暴徒化したデモの破壊活動などを受け、日系企業の現地工場や百貨店・スーパーは休業を強いられた。小売業や外食など「消費者との接点がある業界が影響を受けやすい」(みずほ総合研究所)。


 日本企業の売上高に占める中国現地法人の割合は2011年度で5.7%。この比率は特に電気機械や輸送機械で高い。


 大和総研は仮に中国向け輸出が1カ月止まった場合、裾野産業も含めて生産額を計2.2兆円押し下げるとはじく。業種別では一般機械や電気機械で大きい。現地の日系企業の工場が止まれば、そこへ納入する部品輸出も減る。


 小泉純一郎政権当時の05年に起きた反日デモや日本製品の不買運動では、第一生命経済研究所によると中国向け輸出の5.1%が押し下げられた。


【中国輸出の減少】


 日本からの輸出は09年度以降、中国向けが最大。11年度は12.5兆円と全体の2割近くを占めており、今回はさらに影響が大きくなる可能性もある。


 中国向け輸出は反日感情が高まる前から化学製品など素材や電子部品を中心に落ち込んでいた。


 日本経済が再び持ち直しに転じるかどうかは外需の回復に頼るところが大きく、中国向け輸出の一段の減少は「景気後退を決定づけかねない」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏)との見方まで出ている。


【中国人観光客】


 現地のツアー企画会社が日本への旅行を自粛する動きもあり、中国からの観光客は減りそうだ。


 11年度の訪日外国人数に占める中国人の比率は17.7%。バークレイズ証券の森田京平氏はこうした影響が最も大きいとみる。


 第一生命の永浜利広氏は尖閣諸島での中国漁船衝突事件をきっかけに反日運動が起きた10年に、中国から日本への旅行者は18万人減り、国内消費は318億円減ったと推計している。


 もっとも大規模な反日デモが長期化するとの見方は今のところ少ない。ニッセイ基礎研の斎藤氏は「日系企業の閉鎖は中国人の雇用にも影響する」。大和総研の熊谷亮丸氏も10月半ばに共産党大会が開かれる見込みであることを理由に当局が沈静化に動くと予想する。


以上、日経朝刊。