【要旨】
東芝は独シーメンスなどと共同でIT(情報技術)を活用した次世代水道網づくりに乗り出す。
10月からイタリアなどで家庭や企業に通信機能を備えた水道計を設置し、使用量や漏水情報を即時管理する実証実験に参加。管理・運用コストの2割削減を目指し、欧州連合(EU)の標準規格採用を狙う。
将来は原子力発電所や次世代電力網などとともに海外での展開を視野に入れ、インフラ事業の底上げを目指す。
【内容】
EUの欧州委員会が採択した上水道システムを効率運用する実証実験に東芝の参加が決まった。イタリアのミラノ市とルーマニア西部のティミショアラ市の2カ所で3年間実験する。
実証実験では100世帯超の家庭・企業に通信機能を持つ次世代水道計を設置。総延長約1キロメートル程度の水道管に多数のセンサーを据え付ける。各機器を通信ネットワークで結び、水道の使用量や漏水状況を瞬時に把握できるようにする。
EUはITで効率のいい水道管理技術を開発・検証し、経済効果を評価する。漏水、消費電力の低減などにより、最大で2割の管理・運用コストの削減を目指す。
【東芝の役割】
東芝は実験の中核となる通信インフラの構築を担当。
傘下の次世代電力計(スマートメーター)大手スイス・ランディス・ギアのノウハウの転用を検討する。
複数の上水道のネットワークや、地中・地下のセンサーなどからの無線通信を相互に接続する。障害の検出・復旧やシステム管理を含めて担い、商用化への課題を報告する。
【ニーズ】
EU域内では水道設備の老朽化が進み、漏水は深刻な問題。欧州では電力消費量の3%は水のくみ上げに使われながら、漏水で消失する水量は約2割にのぼるという。
実験で経済効果が実証されれば、EUの標準規格につながる見通し。上水道のIT管理は国際標準がなく、市場も細分化しているため、欧州で標準規格づくりに関与できればグローバルに商機が広がりそうだ。
【狙い】
東芝は実証実験を経て、水道のシステム管理事業で海外進出する考え。欧州や今後市場が拡大する東南アジアへの展開を視野に入れる。
欧州側の参加者はシーメンスのほか、イタリア、ルーマニアの水道会社、オランダのユネスコ水教育研究所など8企業・機関。EUの実証実験に域外の企業が承認されるのは異例だ。
以上、日経朝刊。
自社資産をトランスファーし、欧州でニーズの高い、ITでの次世代水道網をつくる。