【要旨】
大企業志向の強い学生と、採用したいのに人が集まらない中堅・中小企業――。そのすれ違いが解消に向かい始めたようだ。
民間の調査では、来春の就職希望先として中堅・中小企業をあげた学生が、14年ぶりに大企業を上回った。政府も中小企業の情報を提供する取り組みを始め、学生の選択肢を広げる。
【データ】
リクルートワークス研究所は来年3月に卒業する大学生を対象に今年2月上旬~3月上旬に調査した。
調査によると大企業(従業員1000人以上)を希望する学生は21万2800人。一方、中堅・中小企業(同1000人未満)は22万1700人だった。大企業を上回るのは、日本の金融危機で就職状況が厳しかった1999年以来だ。
特に5000人以上の大企業志望者は前年比15.2%減と、減少幅が大きい。一方で従業員300~999人の企業は2.9%増えた。
【理由】
苦戦する先輩の就職活動を目の当たりにして、現実志向を強めた学生が中堅・中小企業に志望を変えつつあるようだ。
大企業の求人倍率は0.73倍にとどまるが、中堅・中小企業の雇用吸収力は大きく、求人倍率は1.79倍に達する。「早い段階から中小に目を向ける学生のほうが就職活動は順調」(法政大学キャリアセンター)だという。
立命館大学はここ数年、学生になじみの薄い事業を手掛ける会社を紹介し、優良企業の見方を養うセミナーを開いている。企業の隠れた実力や魅力を知ると「大手企業に内定をもらっても中堅企業との間で迷う学生がいる」(同大学キャリアセンター)という。
精密センサー製造のメトロール(東京都立川市、松橋卓司社長)は、すでに技術系の3人に来春入社の内定を出した。松橋社長は「6月時点で大卒の技術系を3人も確保できたことは過去になかった」と言う。
2012年春入社組では大卒の技術系を2、3人採用する計画だったが、実際には1人しか確保できなかった。「今回内定を出した3人は、最初から当社を希望してくれていて、大企業とてんびんにかけることもなかった」(松橋社長)。
【国の対策】
政府も中小企業と学生のミスマッチ解消を後押しする。12日にまとめた若者雇用戦略では、地域の優良中小企業のデータベースを政府が作るほか、中小の求人情報に強みを持つハローワークと大学の連携を強化することを盛り込んだ。
今春卒業した大学生でも、1~3月に1万5543人がハローワークを利用して駆け込みで就職を決めた。受け皿もほとんどが中小企業だった。
政府は採用した学生の学歴や成績、資格といった情報を企業に開示させて求める人材像を示すことも検討している。学生は自分に合った企業を探しやすくなる。就職後も中小企業に入った若者がまとまって研修を受けられるような体制を整備して早期の離職を防ぐ。
以上、日経朝刊。
大企業、中小企業というカテゴライズが問題で、適社かあるかどうかで、語られるべきだと思う。
大企業より中小企業の志望が増えたことが、適社志向になったとは言えないと思う。