リアルはショールーム、ネットで購買結実 | 村山涼一のマーケティング備忘録

村山涼一のマーケティング備忘録

日々のマーケティングについて得た知識、考えたことの備忘録

【要旨】


 価格はネットで決まる――。10兆円を超える市場に育ったインターネット通販。バイイングパワー(仕入れ力)を付けた有力サイトは、大手の小売・サービス業が無視できない価格競争力を発揮する。


 これを支持する消費者は家電量販やスーパーの店頭を「ショールーム」として使い始めた。広がるネット発の価格競争の行方を追う。


【事例】


 「他社のインターネット価格にも対応で安い!」。6月上旬、東京・秋葉原のヨドバシカメラ秋葉原店で、こんな店頭販促(POP)が各階に掲げられた。


 顧客がインターネット上のより安い価格を店頭で提示すれば値引きすることを意味する。デジタルカメラ売り場の女性店員は「もちろんアマゾンの価格にも対応します」と話す。


 ヨドバシの取り組みは勢いを増す「ネット価格」への危機感の表れだ。例えばソニーが4月に売り出したテレビ「ブラビア」(40インチ)の新製品。発売時の店頭実勢価格は15万9800円だが、米アマゾン・ドット・コムは今月11日時点で、6万円以上安い9万5800円で販売する。


 ヨドバシの価格は同日時点で13万6800円(10%のポイント還元付き)。顧客がアピールすれば、大幅な値引きは避けられない。だが藤沢和則副社長は「もう店舗間だけで値段を競う時代ではない」と話す。



【ネット価格の影響】


 ネット価格が実店舗の価格設定を左右し始めている。かつてネットの安さと言えば、「型落ち品」や「訳あり品」が理由だった。だが今や低価格は家電の新製品や有力メーカーの日用品、食品に広がる。


 コストのかからない無店舗運営に加え、IT(情報技術)を活用した商品管理術が低価格を実現する。アマゾンの商品管理は大規模拠点にあらゆるジャンルの商品を集め、識別番号を割り振って専用のシステムで在庫や出入庫を一括管理。従業員は渡されたデータに合わせ、流れ作業で梱包や出荷を効率的に行う。


 規模拡大に伴い、バイイングパワーも向上している。アマゾンの日本での推定売上高は年間5000億円規模。食品や日用品などメーカー希望小売価格より3~5割引きの商品も目立つ。


 ある食品大手はアマゾンでの販売額が昨年度2倍に増えた。「今後の主要販路」(営業担当者)とみてコストを負担し、共同販促を積極化している。


 家電メーカーの担当者は「確実に伸びる相手なら取引条件が厳しくてものまざるを得ない」と話す。「うちの仕入れ値より安い商品もある」(大手家電量販店)。アマゾンには利益を抑えてシェア獲得を優先する戦略も透けて見える。



【スマホの影響】



 消費者はこうした状況を活用して商品を選択し始めている。“水先案内人”とも言うべきカカクコムの価格比較サイト「価格.com」。家電や食品、ファッションなど30分野を扱い、月間利用者は3500万人に上る。実店舗の顧客が同サイトでの検索結果を手に店頭価格を見比べる姿も見られる。


 スマートフォンの普及も拍車をかける。アプリ開発のコードスタート(東京・目黒)は、店頭で商品のバーコードを読み取ると40以上の通販サイトと価格比較できるアプリ「ショッピッ!」を展開。ダウンロードは5月末で65万件に上る。利用者の主婦(26)は「決まった商品を大量に買う時、どこで買うのか決めるのに便利」と話す。


【まとめ】


 こうした消費者行動は米国で「ショールーミング」と呼ばれる。顧客が店頭で商品を検討した上で、より安いネットで購入する動きがすでに定着。ベストバイなどの小売り大手の業績に影響を与えているとされる。


 あるネット大手は「国内でも近い将来、実店舗がネット通販のショールームになる」と予測する。ネット価格は既存小売業の、そして消費者の物差しとなり始めた。


以上、日経朝刊。


ショールーミングは、トイザラスが日本に入ってきた時、百貨店やおもちゃをショールームにして、トイザラスで安く買うという形で定着した。


それがリアルをショールームにして、ネットで買うに代わってきている。


そのために、ネットを敵にしなければならないリアル店舗は、ますます大変になるだろう。