プロ野球・横浜ベイスターズの買収で一躍有名になった交流サイト(SNS)大手のディー・エヌ・エー(DeNA)。
春田真会長は毎年20億円近い赤字のベイスターズを「3年で黒字化する」と宣言した。自信の源は同社の主力事業「Mobage(モバゲー)」で培ったビジネスモデル。キーワードは「フリー」だ。
企業が球団を買収するメリットは知名度や企業イメージの向上とされ、球団運営に伴う赤字は「宣伝コスト」と割り切るのが一般的だ。
モバゲーの利用者が3200万人に達し、国内での成長鈍化がささやかれるDeNAにも、中高年層が中心のプロ野球ファンをモバゲーの利用者に取り込む狙いはある。
だが春田会長の「黒字化宣言」で分かるように、DeNAは赤字を「コスト」と割り切るつもりはない。自分たちのノウハウを使って球団経営を「もうかるビジネスに変えよう」という野心に燃えている。
自信の根拠はモバゲーとプロ野球のビジネスモデルの相似性にある。
携帯電話で遊ぶソーシャルゲーム「モバゲー」は原則無料。ただし有利にゲームを進めようと思うと有料のアイテムが欲しくなる。
プロ野球も地上波テレビの中継は無料だが、野球ファンは球場に足を運びお金を払って観戦する。DeNAの経営陣にとって球団経営は「勝手知ったるビジネス」といえる。
DeNAがモバゲーで実践したのは「フリーミアム」と呼ばれるビジネスモデルだ。「フリー」と「プレミアム」の合成語で、ベーシックな製品やサービスを無料で配布して利用者の裾野を広げておき、高度な機能を求める利用者にだけ課金して稼ぐ仕組みだ。
例えばゲームのヒット作「怪盗ロワイヤル」。普通に遊ぶだけなら無料だが、ゲームを有利に進める「武器」や「防具」は有料だ。「アイテム」にも様々な種類があり安いモノは100円。中には期間限定で売られる1000円以上の特別なアイテムもある。
ゲームによって異なるが平均では利用者の1~2割が有料のアイテムを使い、中には月額数万円を支払う利用者もいるという。NTTドコモなど通信3社と契約し、電話料金と一緒に回収できる課金システムを採用しているので、クレジットカード番号を登録する手間もいらない。
こうした手軽さがうけ、2006年にサービスを開始したモバゲーの国内会員数は3200万人を突破した。「フリーミアム」を定着させたDeNAの11年3月期の売上高は1127億円。営業利益率は50%に達する。
DeNAはこの高収益モデルを、球団に持ち込もうとしている。「携帯電話で無料の野球中継を見ながらファン同士がコメントしあう」「モバゲーの野球ゲームに、本物のプロ野球の結果や選手の成績がリアルタイムで反映されるようにする」。
開発現場ではインターネットを使った新しいプロ野球の楽しみ方のアイデアがいくつも浮上している。
「野球ファンをモバゲーに呼び込むだけではなく、(球場に足を運ばなくなった)かつての野球ファンに野球の面白さを再認識してもらいたい」(守安功社長)。
球団の買収交渉が明らかになった10月、DeNA株は一時前日比8%下落した。市場はDeNAの球団経営手腕に疑問符をつけている。設立13年目の若い企業が改革に成功すれば、プロ野球界に新たな風が吹く。
以上、日経電子版。
球団買収は知名度のアップはもちろんだが、野球中継をインストールベースに、ネットゲームに持ち込んでアイテム課金をするのが狙いのようだ。
野球中継を観る層は今までのユーザー層と異なるので、顧客の拡大にもつながる。
いい買い物をしたものだ。