私には

80歳くらいのババアがいる

毎日野良に出かけ、畑仕事を趣味とするが、決してうすら汚れているわけでもないお嬢さんのようなババアだ

80年も生きているのだから、もはや人間より妖怪に近い存在だといえる





そんなババアを先日、買い物に連れていく事になった

『のし紙』が必要なのだそうだ

『のし紙』とは冠婚葬祭で送ったりもらったりするおかしなんかについている『パッケージ』みたいなやつである





ババアを乗せて、私が購入したのだがローンの途中で東京行きを決めたため、結局親にローンを引き継いでもらったオデッセイで『のし紙』が売っているスーパーに到着し、滞りなく『のし紙』を購入した

するとババアは店員さんに

『こののし紙に文字を書いてほしい』と店員さんに頼みだした

店員さんは快く承諾してくれて、パソコンで筆字をのし紙に入れてくれた

それをみながらババアと『すごいね最近はすごいね』等と言い合った

そうこうしてるうちにパソコンが筆字でうちの父親の名前を書き入れ終わり、全てのミッションが成功したので私が帰ろうとすると、ババアが店員に

『いくら?』

と問いかけた

私は

『そんなもんサービスに決まっとるやないか』

と思っていたがしばし見守る事にした




バ:なんぼ?

店:いや、お代はいいですよ

私:ほらみたことか

バ:いや悪いさかい払うわ

店:いや本当にいいんです

バ:ほんまにとっといてえな

店:いや本当にもらえないです

私:ちょっとしつこいな・・・

バ:ここまでして貰っといてタダでは気がすまんわ

店:そうは言われても・・・

私:困っとるやないか

バ:ほな今度スイカもってくるわ

私:なんでやねん!





まじの会話である





よっぽどパソコンに感動したのであろう

どうしても感謝を表現したかったうちのババアは

最終的に『自作のスイカ』にたどりついた





技術とモノの交換

まさに人間社会のはじまりの部分である





高度経済成長期を桃園のみで生き抜いたうちのババアの時間は

この何十年間

ずっと止まっているのかもしれない