西岡恭蔵さんのインタビュー | 矢沢永吉激論ブログ

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今回は特別に西岡恭蔵さんのインタビュー記事をもらったのでテキストに起こしてみました。

情報提供ありがとうございました。

第4回 BOSSについて語ろうか

「A DAY」、「So Long」、「DIAMOND MOON」などの素晴らしい数々のバラード、そしてコンサートで歌い継がれている「トラベリン・バス」の作詞家である 西岡恭蔵さんにインタビューを頂きました。

矢沢永吉の初めてのソロアルバム「I Love You,OK」「ライフ・イズ・ヴェイン」、「夏のフォトグラフ」、「奴はデビル」を作詞されてますが、出逢った切っ掛けと、その時の印象をお聞きしたいのですが?

「I Love You, OK」は 1975年でしたっけ?

二人が出逢った 切っ掛けというのは、キャロルが解散してちょうどソロになるという頃でした。日本フォノグラムというレコード会社がありまして、そこで会ったんてす。ディレクターの方とか矢沢本人とかが作詞をする人を捜してたんてすよね。で、その中にピックアップされて、今も続いているというか...。

初めて逢ったときの印象は、エネルギッシュな人だなぁと思いました。彼と別れてからもしばらくそのエネルギーが残って離れなかったというか、あんなにエネルギーのある人ってなかなかいないと思うんてすよね。オーラとかうものが本当にあるのかどうかは、分かんないてすけど、なんかこう放つものてすかね、そういうものが強かったです。

西岡さんから見た"人間矢沢永吉"というのと"アーティスト矢沢永吉"というのは、どんな人ですか?

何度かお会いさせて頂いたことがあるんてすけど。91年の夏に用事があって帯広に行ったんてすね。その時ちょうど矢沢のツアーが行われていたんて尋ねてみたら、わざわざ楽屋に呼んで下さって、1時間くらい久しぶりに彼と話が出来たんてすけど、もう充分な気配りをして下さって、立派な方だなあと思いましたね。

人間的には、本当すごく優しい人だと思いますよ。

アーティストという面ては、ステージのショーがとてもうまくて、タレント性というか才能のある人てすよね。エンターティナーとしての資質がすごく高い人だと感じてますけど。それと、矢沢本人というのはずーっと歩いてきた、あるいは走りながらきた人なんで、とても真っ直ぐな人だと思ってます。

昔と比べて変わったと思う所はありますか?

基本的には変わってないと思うんてすけど、段々年齢と 共に変化してきている所もあると思います。昔は脇見もせずにひたすらっていうイメージが強かったんですけど、あるときから、なんかいろんな余裕が出てきて周りのものが見え始めたという感じじゃないですかね。その分、優しさとかが広がってきたような気がしますけど。あと最近、特にメロディがまろやかになったなあという気がします。

西岡さんの詞というと、シチュエーションがとても綺麗で、その中に“切ない想い”みたいなものを感じるんですけど、どんな風に作られるんですか?

いろんな曲によって作り方がいろいろあるんてすけど、んー、テ ーマを決めて1番、2番、3番・・・というふうにストーリーを考え て行く方法とか、あるいは曲を聞いてみて好きなメロディの所にはまるような言葉を捜して作り上げてゆく方法があるんですけど。最近は大きな意味ての愛というのをテーマとして作れたらいいなぁと思ってます。

矢沢永吉の詞を作る場合、これだけは重点にしているポイントのようなものってありますか?

やっぱり男でしょうね。男の色気だとか、優しさだとか、激しさだとかまた弱さみたいな所も含めて“男”だなという気がしますけども。

作るパターンとしては、矢沢永吉本人が先に曲を作り上げてから、詞を作るんですか?

そうですね。その中で、 彼の方からテーマが出る場合もありますし私の方が曲を聞いてそのまま詞を作ることもありますけど。

詞が先に出来てから、曲が作られたということは、なかったんですか?

今まではないです。

矢沢永吉本人の詞に対する想い入れというのは、西岡さんから見てどんな感じですか?

それはものすごく強いですよ。やっぱり彼の中にあるイメージとうまく重ならないとならないでしょうし、何に対してもそうだと思いますけど、絶えずマッチングするものを捜し求めているのだと思います。本当にコレだ!!というものを選んで歌っているんじゃないかと思います。でなかったら、あそこまで歌えないだろうと思いますし。

イメージの違いでぶつかり合うようなことはないですか?

それは彼が選ぶんてすから、こちらは勝手に想像して書いて、ずれる部分は彼の方で手直ししてくれますし。だから、その辺りも彼がプロデューサーなわけです。

矢沢永吉の詞は、他の詞を書く場合と比べて作リやすいですか?

矢沢永吉という存在する人間をモデルにイメージして作る方法などもあるんて、作りやすいといえば作りやすいかもしれないですね。

詞がレコードになったとき、自分のイメージ通りに なってますか?

いや、違いますね。同じようなときもありますけど。ときどきス ーパーマーケットとかでかかってることがあって、アレ?と思うと自分が書いた詞だってことがあるんてすけど、自分が書いた譜割りみたいなのとチョットずれてたリすることはありますよ。でもそれは、彼が歌い込んでいって、練り上げて行くものですんでね。

特に思い出深い作品ってありますか?

自分としては、「トラベリン・パス」の頃の作品とか「E'」の頃の作品が好きなんてす。「E'」の頃などは、透明感があって繊細なものというのを自分の中でテーマにしていたんてす。もちろん彼からのテーマを見てそうしたんですけど「E'」の頃は、今まて書いていたものと違ったニュアンスで出せた気がするんですよね。

ステージをご覧になっていて、自分で作詞された歌を客席て聞いている時って、どんな気持ちになりますか?

あー、もう最高ですね。作詞家冥利というか...。昨年の武道館でステージを見たんですけど、「パーポン人生」が久し振りに聞けて、ものすごく心にしみて感動させてもらいました。作詞家にしか味わえない、やったーという気持ちとか、自分が矢沢になってしまったような陶酔感は、他では味わえない気持ちだと思います。

「パーポン人生」は、あのアルバム(ドアを聞けろ)の中で1曲だけ 全然別の雰囲気で、今までの矢沢に全くない曲で、それ以降にも割りとないんですよね。て、アメリカに「ミスター・ポージャンプル」っていう歌があるんですけど、それがちょっとヒントになって「ひとりの年いった歌手の歩んてきた過去の想いを歌う」というイメージで作ってみたんてす。

西岡さんというと、パラードが浮かぶんですけど、そんな中で「トラベリン・バス」が歌い継がれていますよね?

あれはツアーをする人たちの歌を書にうと思って、矢沢自身もこういうニュアンスでツアーをするんだろうなあーという想いで作ったんですけど。確かに歌い続けてますよね。あれは矢沢の中でもすごく大きなスタンダードな部分なんだろうと思います。すごく嬉しいのが、お客さんのあのパワーですか。見ていて楽しいんですよね。あのお客さんと矢沢との一体感っていうのが、ステージの一番大きな魅力なんじゃないかと思いますね。見ていると、もっともっと、と後押ししたくなりますよね。


YAZAWA CLUBの会員を対象にコンサートて唄ってほしい曲は?」という調査を行った際、上位に声が上がっていた曲について、なにかお聞かせ下さい。

「A DAY」は、やはリ矢沢のパラードの美しさでしょうね。
それが詞を引き出したと思います。

「黒く塗りつぶせ」は、“若者のうっ積した気持ちを吐き出してしまえ!"という感じのものを書きたくて作ったら、彼が気に入ってくれたんです。

「苦い雨」は、矢沢永吉というアーティストがこういうニュアンスのアーティストてあって欲しいみたいな、ハードボイルド的なニュアンスを出したかったんてす。あれは「カサブランカ」という映画の情景を頭に置きながら、矢沢をはめてみたらどうだろうかと想って作ったんてすよ。

矢沢永吉の歌の中で一番好きな歌は?

「トラベリン・パス」かなあ。あの歌、好きですね。詞の感じとかを見ても、旅のつらさとか、その中の想いとか、優しさなんかが、あの歌には出せている気がするんてすよね。

最後に矢沢永吉を一言で表現して下さい。

「いい奴!」もう、最高てすよね!

今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。