青森には弘前を中心にした青森市を含む「津軽弁」の地域と、八戸を中心とした「南部弁」の地域があります。私は小学校一年まで、どちらでもないむつ市に育ち、小学校二年から青森市に移ったので、津軽弁に近い中途半端な言葉を使っていました。


方言という「言葉自体」と、イントネーションが全然違います。テレビが普及するにつれ、その差は小さくなってきましたが、高校の頃は南部弁を聞くとがおかしくて、少し苦痛でした。八戸の人は、逆に津軽弁はおかしいと思っていたでしょう。


学生時代、私は方言を使うことにはじめは抵抗がなかったのですが、イントネーションの関係で二度三度と聞き返されるので嫌になりました。


電車の切符を買うとき、今のように自動販売機が無かったので、「御茶ノ水」とか「青森」と言っても必ず聞き返されました。買い物でも、料理の注文でもいちいち聞き返えされ、面倒でいい加減嫌になりました。


無口な男がボソボソ言うのもあったのかも知れません。そこで、不本意ながら通じる言葉を使うようになりました。


家に電話するときには言葉は戻りますが、それを聞いた人から「何でけんかしてるの?」と聞かれました。一般的にけんかしているように聞こえるようですが、決してそのようなことはありません。


津軽半島の端の方に仙台から職員が出張してきたときには「地元通訳」がつきました。私もよく分からないときがありました。でも「津軽標準語」と開き直っています。