私の学生時代は「かに族」の全盛期でした。横長の大きなリュックサックを背負い、Tシャツ、ジーパン、スニーカーでの貧乏旅行です。時刻表、ユースホステルのガイドブック、国鉄の周遊券が必需品でした。


みんなその格好をしているので、なんの恥ずかしさももなく、夏は北海道を目指していました。「幸福駅」がブームになったころです。


大学の夏休み、春休みはだいたい二ヶ月半くらいありました。その上、私が二年と四年のときは「学園紛争」のためロックアウトで12月中旬から授業はありませんでした。いつ授業を受けたのかと思います。授業料が年間8万円のころなのでしょうがないかとあきらめてもいます。


休みの多い分旅行が出来ました。北は礼文島から南は与論、沖縄までゆっくり、じっくり、のんびり旅行しました。一回の旅行がだいたい三週間くらいなので、洗濯をしながらの旅行でした。


普通列車を利用することが多かったので、朝の通学客や、行商のおばさん達と一緒に乗車していました。なんとなく、その地方を体感したような気になっていました。


今は「かに族スタイル」で旅行する人は見かけませんが、団塊の世代が退職していくこれからまた「かに族」が復活しないかと、ひそかに期待しています。