還暦医者のひとりごと

私の免疫論

ゾルタンオヴァリーの本を読んで、「液性免疫(特異抗体)」が免疫物語の始まりであったことを思い知らされました。

ゾルタンオヴァリーの仕事は、「抗原特異抗体」を高感度に定量する方法を見出したことで、

「helper T細胞」の発見へ繋がることになりました。

私の免疫への興味の始まりは、「Natural killing」なので、

「cytotoxic T細胞」の方に、興味が偏在していました。

 

「Natural killing」とは、事前に免疫することなく、

生来、宿主が持っている、「何等かの細胞」を障害する「リンパ球」の機能のことです。

 

多田富雄先生の一番弟子が、O先生で、

私の先輩医師が東大医科研の大学院生時代は、東大免疫の助教授だったようです。

 

O先生の私の先輩医師の仕事への評価が、「そんなリンパ球に酒を飲ませて、

何でも殺すように危なくなった細胞が実際の生体内に存在するはずがない」だったようです。

 

そのような「危ない細胞」が、抗がん剤投与後の患者さんに出現したことを見つけたのが

私の先輩医師の泌尿器科での仕事で、その動物モデルを作成するのが、大学院での私の仕事でした。

私の先輩医師の興味は、「危ない細胞」の「認識機構」だったのですが、

私自身は「認識機構」には興味はなく、「存在そのもの」に興味がありました。

 

「哲学的」な話ですが、「精神構造」における「本能」と「理性」のように、

「免疫機構」の中には、「本能」に相当する「危ない細胞」と、

「理性」に相当する「NK細胞やT細胞」のような「制御された細胞」の

2層構造が存在していることを想定していました。

「遺伝子・分子機能」が研究の中心になっている

現在の研究者には相手にされませんが・・・。

 

現在、癌治療の現場で使用されている、「抑制性のT細胞」を抑える、

「免疫チェックポイント阻害剤」が高額薬剤として使用されています。

癌に対して著効する症例も多々ありますが、

ごくまれながら、通常の免疫抑制療法では、制御できない強い副作用が生じる場合があります。

この副作用を理解するためには、

「危ない細胞」の本態を解明することが必要と思っているのですが・・・。

 

ニューヨークでの私達の仕事の「本質」は、

「抗原特異的cytotoxic T細胞」を高感度に定量的に評価する方法です。この方法は、

「臨床検査」としては、「結核症の診断」に日常的に使用されている技術になっていますが、

残念ながら、ゾルタンオヴァリーの仕事のように、「学問的」には、広がることはありませんでした。

「感度を上げる」ために我々が提示した方法は、臨床的には実施不能なので、

同じ技術で、「感度が若干下がる」方法で検査されているのが現実です。

 

あくまでも持論です。

色々なご意見お待ちしております。