光殺菌(LAD)治療
歯周病・インプラント周囲炎に用いられる光による殺菌アプローチ
光殺菌(LAD)治療とは![]()
光殺菌(LAD)治療は、感染した部位に 光感受性物質(ジェル)を注入・塗布し、
特定の波長の光を照射することで細菌に作用させる治療法です。
LADは Light Activated Disinfection の略で、
日本語では「光殺菌治療」と訳されます。
歯周病菌をはじめとする細菌感染が関与する病変に用いられ、
欧米では数年前から歯科治療の補助的アプローチとして広く普及しています。
光殺菌(LAD)の仕組み ![]()
光殺菌治療は、次のようなメカニズムで行われます。
1. 光感受性ジェルの浸透
光感受性ジェルが、細菌の細胞壁や細胞膜に取り込まれます。
2. 活性酸素の発生
特定の波長の光を照射すると、光感受性ジェルが反応し、
活性酸素が発生します。
3. 細菌への作用
発生した活性酸素が細菌の細胞壁や細胞膜に作用し、
殺菌効果を発揮します。
どのような症状に有効![]()
光殺菌(LAD)治療は、細菌が原因となるさまざまな歯科疾患に用いられています。
• 感染根管治療:根管内の細菌感染への補助的処置
• 歯周病(歯槽膿漏):歯周ポケット内の細菌への対応
• インプラント周囲炎:インプラント周囲の炎症原因菌への対応
• その他:
虫歯、歯冠周囲炎、アフタ性口内炎、ヘルペス、扁平苔癬、真菌など
また、
歯周病やインプラントの定期検診、矯正治療中のメンテナンス
における予防的ケアとして用いられることもあります。
どのような場面で役立つか
光殺菌(LAD)治療は、
歯肉炎・歯周炎・インプラント周囲炎など、
細菌感染が関与するさまざまな歯科疾患において役立ちます。
通常の歯周病治療(歯石除去・SRPなど)と併用することで、
• 治療効果の向上
• 細菌環境の改善
• 感染の再発防止
に貢献することが期待されます。
また、LADは
歯周病菌が産生する
• 内毒素(LPS)
• 組織破壊に関与する分解酵素
の活性を低下させることが報告されており、
病巣となる歯根面の無毒化が期待できる点も特徴です。
光殺菌(LAD)治療のメリット![]()
光殺菌治療には、次のような特徴があります。
• 痛みが少ない
治療中の不快感は比較的少ないとされています。
• 幅広い細菌に作用
耐性菌にも作用が期待されます。
• 抗生物質を使用しない
耐性菌出現のリスクを抑えることができます。
• 繰り返し治療が可能
副作用が少なく、定期的なケアにも利用できます。
※光過敏症の方を除く
• 予防的効果が期待できる
健康な部位への使用で、歯周病予防に役立つとされています。
光殺菌(LAD)がバイオフィルムに及ぼす効果
① 殺菌だけでなく「毒性低下」に作用
光殺菌(LAD)は、
単に細菌数を減らすだけでなく、
• 歯周病菌が放出する 内毒素(LPS)
• 組織破壊に関与する 分解酵素
といった有害因子の活性低下が報告されています。
これにより、
• 炎症の沈静化
• 歯周組織への刺激低減
• 再燃リスクの抑制
といった点で、補助的価値の高い治療と考えられています。
② バイオフィルムへのアプローチ
歯周病菌は、バイオフィルムと呼ばれる構造を形成します。
バイオフィルムは、
• 抗菌薬が届きにくい
• 機械的清掃だけでは残存しやすいという特徴があります。
LADは、
• 活性酸素による細菌構造への作用
• 毒性因子の不活化
を通じて、バイオフィルムの病原性を弱める可能性が示唆されています。
医科分野での応用(PDT)
光殺菌(LAD)の基礎となる
光線力学療法(PDT)は、医科分野で以前から用いられています。
1990年頃から、
肺・食道・胃・子宮頸部などの早期がん治療に
光やレーザーを用いたPDTが保険適用されており、
副作用の少ない治療法として注目されています。
LADは、この原理を歯科領域に応用した治療です。
注意点
• 光過敏症の方:光過敏症の患者様には使用できません
・ 治療中、機械による若干の熱と振動があります。
・歯周病を完治させることはなく、予防のための繰り返しの使用が必要です。
• 保険適用外:歯科領域では現在、自由診療となります
• 未承認医療機器:光殺菌治療はデンマークCMS デンタル社のFotoSan 630を使用しています。
FotoSan630は日本の「医薬品医療機器等法(薬機法)」でまだ承認されていない医療機器ですが、安全性と効果を確認の上、歯科医師の裁量のもと治療に取り入れています。
まとめ![]()
光殺菌装置(Fotosan )
根管治療、歯周病 インプラントの定期検診等、細菌が引き起こす様々な歯の病気に有効です。
特徴
治療に痛みがありません。
あらゆる細菌に効果が期待できます。
抗生物質を使わないため薬に対する耐性菌が発生しません。
副作用がなく、繰り返し治療に使用できます。

村川歯科
06-6451-2770
ブルーラジカル・光殺菌専用ダイヤル 06-6451-2755
