私は、国のエネルギー保障を根幹から危険に曝す状況が起こりつつあると考えています。

原子力プラントの健全性は綿密かつ周到な定期検査で保たれている。
放射線に曝される可能性のある中枢部の点検には充分なスキルと経験を有するエンジニアが携わらねばなりません。

国と国民が「技術の更なる改良・発展」から眼を逸らし「他山の石」や「隣の芝生」のみに視線を移してしまうと、エネルギーの安定供給に最終的責任を持つ当事者(電力会社、重電メーカー)は技術・人員の配置を変更して対応をしなければなりません。
また、福島の収束と安定化にスキルを有するエンジニアを集中し、そういうエンジニアが作業で許容される年間被曝量まで達してしまうと、残る50余のプラントについて充分な定期検査が所定期間に出来なくなります。プラントの健全性と運用が損なわれ、国が必要とするエネルギーと活力、更には産業の展開と雇用の確保が窮地に陥ります。

国が持続的な成長を希求するには、上記について国民世論を喚起し、当事者が責任を全うしつつ軟着陸できるような環境を醸成し構築しなければなりません。政治も現場も、マスコミと評論家の尻馬に乗って無責任な発言と行動は慎むことが肝要です。少なくともイギリスで頻発している暴動にも似た行動は避けるべきです。足元を確認し固めながら進まなければ国の歴史に終止符を打つことになりかねない。それくらいの危機感を持って、関西電力には事態に対して頂きたい。
各電力会社は、我が国のエネルギー・安全保障について「他のもの」では量的・質的に代替できない重要な任務を追っているので、プロとして判断したことに対しては、明確な説明を付けた上で自信を持って遂行するようお願いしたいものです。

確かに、一部地域と国民に大きな負担がかかる原子力発電は、将来的には廃絶すべきです。
しかしそれは、原子力廃絶までの具体的かつ明確なエネルギー政策を示して取り組むべきだと考えますが、皆様はいかがお考えでしょうか?